
どうも。
泉北の室之園です。
大変遅くなってしまいましたが、6/22に行われた装具勉強会の報告をさせて頂きます。
今回は小豆澤整形器製作所で義肢装具士として働いておられる、川場康智先生に講師のご依頼をさせて頂きました。
実は川場先生、以前にも私のわがままで勉強会のお願いをしたことがありました。
その時も快く引き受けて下さり、今回も二つ返事で承諾して下さった、本当にフットワークの軽い方です。
前回の勉強会の様子。
http://active-nopsj.sblo.jp/article/169067504.html川場先生が勤務されている小豆澤整形器製作所は大阪府松原市にあり、昭和30年創業の老舗です。
小豆澤整形器製作所ホームページ
http://www.azukizawa.net/業務形態は一人のスタッフが採型−作成−納品−修理と、製販一貫性を理念としている、今では大変珍しい企業なんです。
今回は事前に参加スタッフの方からもアンケートを募り、より現場ならではの内容にさせて頂きました。
テーマは大きく分けて5項目。
@装具の役割
A装具の矯正力
B主な短下肢装具
C生活期の装具
D装具の支給体系

@装具の役割
装具と一口に言っても用途は様々あり、装着される方の目的によって変わってきます。
一般的に「屋外歩行訓練で(装具を)使って体力をつけよう!」といった目的で用いるものを治療用(訓練用)装具。
「通勤で楽に歩くために着けよう!」といった目的で用いるものを機能代償用(更生用)装具と言うそうです。

A装具の矯正力
矯正力(制御)にはいくつか種類があり、「固定」「遊動」「制限」「制動」「補助」があります。
「固定」は文字通り、動かないようにする。
「遊動」は装着者の意思ではなく、無抵抗に動く。
「制限」は動かないのではなく、ある角度からは動かなくなる。
「制動」はブレーキをかけながら動いていく。
「補助」は装着者の動きを助ける。
ちなみに「制動」の反作用が「補助」だそうです。
同じシューホーンタイプでも、踵部分をくり抜いた物と抜かない物で、制動力が半分以下になるそうです。
矯正力の種類がいくつもあることは、それだけ装具はただ部位を固定すれば良いという訳ではなく、その方の歩容を観察し、どの動きをサポートし、どの動きを出さないようにするか、といった歩行分析力が必要になります。

B主な短下肢装具(Ancle Foot Orthosis)
制動力の決定因子になるのは
・プラスチックの材質(ポリプロピレンなど)。
・プラスチックの厚み(3o、4mm、5mm)
・トリミングライン(足関節部や踵部)
・足関節周囲の形状(コルゲーション、前額面・水平断面の形状)
以上によって決められます。
踵部分をカットした大牟田式、タマラックやゲイトソリューションという継手が付いたAFO、金属支柱が付いているAFO、カーボン素材のAFOなど様々あります。
また靴の選定も大切であり、装具の性能を生かすも殺すも靴次第であるとおっしゃっていました。
チェックするポイントとしては、差高と周囲(ワイズ)、インソールが取り外し可能な物を選ぶことが大切だと教えて頂きました。

C生活期の装具
生活期における装具の諸問題を挙げられ、「適応であるにも関わらず装着していない」「装具を使用しているが、破損や不適合がある」ことを教えて下さいました。
ここでは少し川場先生の会社の取り組みを交えて報告させて頂きます。
小豆澤整形器製作所さんでは即日修理が可能で、実に7割がその場で修理されるそうです。
費用は基本自費で、¥1500〜¥5000が相場になるそうです。
そしてスゴイなと感じたのが、自社他社製問わず、気になる装具であれば何でも修理して下さるそうです。
これらは「破損に気づいても修理の依頼先が不明確なため放置されている」という諸問題を解決する為の取り組みではないかなと思いました。
生活期ではフォローが不十分な為、リスクを勘案した装具処方が必要であること。
装具のトラブルに対し、迅速に対処できるネットワーク(関連職種を交えた地域交流会も実施されているそうです)の構築が必要だということを学びました。

D装具の支給体系
地域リハビリテーション分野で仕事させて頂いていると、こういった制度に関する情報を知っているといないとで連携スピードが全く違うことを痛感します。
「@装具の役割」でもお伝えした、治療用装具と機能代償用装具で説明すると、
治療用装具は訓練(リハビリ)を目的に作成する装具であり、医療保険が適用(一時立替え)となります。
こちらの場合、主治医(かかりつけ医)に装具が必要であることの説明を行い、同意を頂く必要があります。
一方、機能代償用装具は生活場面での使用を目的とする為、身体障害者手帳が適用となり、こちらは応益負担となります。
こちらはまず役所に申告し、判定が得られた時点で作成に取り掛かります。
判定は直接判定と文書判定があり、直接判定では当事者・作成者側の意向がうまく伝わらず、こちらが作りたい物と違う物ができるリスクがあるそうです。
また金額面という点もやはり気になる部分です。
義足一つ作成した場合、約60万円もかかる場合がある為、ご本人、ご家族の費用負担も十分考慮する必要があります。

これら全ての内容を理解しなくても、気になる方がいればいつでも相談して下さい!と話して下さったところで、楽しい勉強会が終わりました。

ブログで報告することで、私自身にとっては備忘録にすることができたのでとても良かったです。
お忙しい中、快く講師を引き受けて下さった川場先生。
事前アンケートにご協力頂いた各事業所療法士の皆さん。
ブログでは触れていませんでしたが、2回目の川場先生の勉強会企画のキッカケを下さった泉北事業所の前田さん。
当日の会場設営や資料準備にご協力下さった長西さん。
この場をお借りしてお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

そして、こんな読みにくい文章を最後までお読み頂いた皆さん。
本当にありがとうございました。
追加情報や間違っている箇所などありましたら、コメント欄への記入お願いします!
泉北事業所:室之園