
鳥取県米子市でのリハケア合同学会2018ポスター発表「作業療法士におけるゴルフ支援の取り組み」を終えた井上さん。
◇インタビュアー:PT軽部さん(吹田、メルマガ編集委員)
1.今の仕事内容、働き方について(担当している仕事やプロジェクトなども)、簡単に教えてください。
デイサービス管理業務、訪問リハビリテーション、デイサービス個別機能訓練、新人・学生指導育成。大阪障がい者ゴルフチーム『フェニックス』のサポート、アクティブ・ライブ2018松原の事務局長。
2.今の仕事・役職に至るまでの経緯、きっかけなどを教えてください。
作業療法士になるきっかけは、高校卒業後ゴルフ場で研修生として勤務していましたが、自分自身のゴルフの上達に限界を感じていました。その頃、同じ職場にアメリカで理学療法士の資格を取得した方に出会い、リハビリテーションに興味を持つきっかけになりました。
3.今の仕事は面白いですか?
訪問リハビリではADLだけではなく仕事や余暇など、個々の価値や興味に応じた作業活動に直接介入することができることろが面白いと思います。
また、アクティブではデイサービスや訪問リハビリの枠を超えて支援できる環境にあると思います。
大阪障がい者ゴルフチーム『フェニックス』のサポートがその一つ。
以前、病院で訪問リハビリしていたころ、ゴルフ場に連れていきたい利用者がいましたが勤務内で行う事が難しく、プライベートで先輩方の協力のもとゴルフ練習場に一緒に行った機会がありました。でも、プライベートではさまざまな理由から継続的な支援は難しく、ゴルフ場にいくことができませんでした。
現在は、ゴルフや各種イベントを含めてそのような支援をできる環境にあると思います。
4.あなたにとっての仕事の魅力・やりがいは何ですか?
訪問リハビリやイベント活動内容を含めて、利用者も自分自身も楽しめるところ。
5.仕事をしていくうえで大切にしていること、心掛けていることはありますか?
わからない作業はご利用者様にも教えていただきながら、自分自身も一緒に作業を楽しむ事。
6.仕事での苦労は?
苦労ではありませんが、『人に伝えることは難しいな。』と、いつも感じています。
7.仕事と育児・家庭の両立について、自分自身ではバランスが取れていると思いますか?
取れていると思います。
8.今後、どのような働き方をしていきたいと考えていますか?(家庭も含め)
仕事、家庭、遊びの並立。
9.あなたの理想とする自分(家庭・仕事含めて)や将来の目標、夢など、ありましたら教えてください。
現在住まいの地域では少子化、高齢化がすすみ人口が減少してきています。メディアでは『買い物難民』など社会的な問題として取り上げられることもあります。作業療法士としてはもちろんですが、地域住民としてさまざまな活動に関われればと思います。理想としては高齢者だけではなく、障がい者や子どもを含めて地域全体が活性化するような取り組みに興味があります。
10.自分らしいと感じるのは、どんな時・どんなことですか?
好きな事をしている時。
子どもと野球やゲームで遊ぶ、地域のソフトボールに参加する、少年野球のコーチをする、近所の人や友人とお酒を飲む など。
11.最後は、自由に語って下さい!
大阪障がい者ゴルフチームでは、会員ならびにボランティアを募集しています。アクティブ外の方の参加も大歓迎です。周りで興味のある方がおられましたら下記『大阪障がい者ゴルフチーム フェニックスHPのお問い合わせ』、もしくは『堺デイサービス 井上まで』ご連絡ください。
大阪障がい者ゴルフチーム フェニックスHP
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https://odgt-phoenix.jimdo.com/大阪府訪問リハビリテーション振興会(3府士会合同)では、今年度泉州・北摂・河内の3か所で事例検討会を実施しています。
府士会会員無料、非会員500円です。
日程や申し込み等の詳細は
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http://www.physiotherapist-osk.or.jp/osakahoumonreha/moushikomiannai.html皆様お誘い合わせの上ぜひご参加いただければと存じます。よろしくお願い致します。
◆キャリアインタビューを受けて◆
日頃、自分のことを振り返ることがないため、自分自身を見直す良い経験となりました。その反面、やはり『人に伝えることは難しいな。』と感じました。貴重な機会をいただきありがとうございました。
■キャリアインタビュー記事編集担当より■
今回の井上さんのインタビューからワークライフインテグレーションのひとつのカタチを見た気がしました。
井上さんは、自分の人的なネットワークを存分に活かして周りを巻き込みながら、ゴルフチーム「フェニックス」の立ち上げからその運営、利用者さんへの運営移譲・フォローアップまで、仕事の中に見事な成果を作り出しています。
この成果は、井上さんの仕事の拡げ方や地域活動への参画等の、仕事以外の学びを日頃から仕事に取り入れる姿勢が一役買っていると思います。
ようやく近年よく聴かれるようになってきたパラレルキャリアの考え方に近いかもしれません。
井上さんのような幅広い学びを仕事にも活かし、わからないことも利用者様と真面目に楽しんでしまう姿勢は、結果として仕事の成果が上がるといわれています。
そのなかで自分の視野と人とのつながりが広がり、次の新たなチャレンジとイノベーションの機会が舞い込んできてくれます。
そして、利用者さんのみならず自分自身の人生をも豊かにしてくれるはずです。
生活期リハビリテーションで働くわたしたちは、ぜひ参考にし共鳴したい働き方です。
参考)
☆ワークライフインテグレーションとは?
自らの人生観を軸に、ワーク(職業生活)とライフ(個人生活)を柔軟、かつ高い次元で統合し、双方の充実を求めること。それによって、生産性や成長拡大を実現するとともに生活の質を高め、充実感と幸福感を得るなどの相乗効果を目指す働き方をいいます。仕事と生活を対立的にとらえて、その量的バランスの調整・回復を目指す、従来の「ワーク・ライフ・バランス」の発想を一歩進めたものと考えられます。
ワーク・ライフ・バランスの重要性が叫ばれて久しいですが、そもそも仕事とプライベート、社会生活と私生活、職場と家庭は本当に二者択一なのか、区別したり、優先順位をつけたりすべきものなのか――。キャリア論の権威で、ワークとライフの“統合”(インテグレーション)をいちはやく唱えた慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科の高橋俊介教授は、「家庭と仕事を分業してしまうから、相手への感受性が鈍化して、相互不信が募る。家庭と仕事のどちらかに優先順位をつけようとするから、ストレスが生まれる。二つを同時にやるから、得られるものもある」と説きます。そしてその具体例として、ヒアリングで得たワーキングマザーの次のような意見を挙げています。
「いざとなったら人にふらなければいけないので、自分の仕事を抱え込まずに、他の人でもいつでもできるように情報を共有化・見える化するようになった」
「夫や家族、地域の人たちの助けが絶対に必要。多様な人たちとの良好な人間関係構築の能力が鍛えられた」
仕事と生活に優先順位をつけず、前向きに、どちらも充実させることを目指すからこそ得られるこうした相乗効果が、ワーク・ライフ・インテグレーションの真髄といえそうです。
引用)
▼日本の人事部HPより
キャリアインタビュー記事編集担当:人材開発室・心意気実践チーム 伊藤健次郎