2021年05月03日

アクティブスマイル4月花見(さくら)お花見

アクティブデイサービス大正の神谷です。

4月のアクティブスマイルのテーマは「お花見」でした。
このご時世、なかなかお花見に行くことが出来なかったため、デイに桜の木を置いたり桜のモチーフなどの装飾をしました。
デイの中でもプチお花見が出来るようにと思い、消毒等の感染対策を徹底した上でこのイベントを企画・運営しました。
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デイに来られた利用者様は近くに桜を見に行ったり、匂いを嗅いだり触ったりと様々な5感で感じて頂けているようでした。
また天井に飾った桜を見上げたり、「うわー綺麗」と言う声もたくさんありました。
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利用者様にも桜づくりのお手伝いをしてもらいました。
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記念写真を撮って、桜の押し花をフレームにつけた写真をプレゼントしました。
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みなさん、笑顔で喜んで下さり「寝室に飾る」と言ってずっと写真を眺めている方もいらっしゃいました。
たくさんの方に喜んで頂けて、とても良いイベントになったと自分では感じています。

アクティブデイサービス大正
OT神谷
posted by Active at 14:57| Comment(1) | TrackBack(0) | 大正(報告)

読書感想ブログその5〜作業療法の話をしよう〜

どうも。
泉北 兼 心意気実践チームのむろのぞのです。

5月の本はコレ

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作業療法の話をしよう
作業の力に気づくための歴史・理論・実践





●はじめに

作業療法は人がよりよく生きるための哲学と具体的な実験が融合する分野です。

また作業療法士(以下、OT)は作業療法の話をすることが大好きです。

しかし「作業療法はわかりにくい」「説明してもわかってもらえない」と言われてきました。

本書は前回紹介した『「作業」って何だろう』の著者であり、作業療法士である吉川ひろみ先生となっています。

吉川先生は「人は話すことによって自分の知識を確かめ、新しいことに気づく」と言われています。

僕も吉川先生にならい、作業療法のことをまだまだ知らない皆さんに少しでも伝えていく、という作業を実践していきたいと思っています。

その作業を通して自分の知識を確かめ、新しい発見に気づいていけたらと思っています。

本書は作業療法の歴史に始まり、実践、理論と幅広い視点で解説されています。

以前に作業療法の理論についてのブログを書いたので、今回は作業療法の歴史について紹介したいと思います。

学校の授業みたいで退屈に感じてしまう方もおられるかもしれませんが、良ければご一読ください。



●作業療法のはじまりから今日まで

1、むかし-活動を使った治療

哲学の父といわれたヒポクラテスは「病気を癒すものは自然である。つまり人間に備わっている活動するという性質が治療になる」という考えをもっていました。

また薬、食事、外科治療、温熱など現代医療につながる様々な治療法を列挙しており、そのなかに『仕事』『散歩』があったと言われています。

ギリシャの医学者ガレノスは健康の維持に役立つ作業として舞踏乗馬水泳狩猟農作業などを挙げ、精神病にはレクリエーション作業を処方しました。

心身機能障害があっても何もできないと思われていた人が、自分にぴったりの作業に出会って、社会で活躍することがある。

歴史のなかで世界中のあちこちでこうした事実が確認され続けてきました。



2、ルーツ-道徳療法・アーツアンドクラフツ運動・社会背景

・道徳療法

18世紀フランスの医師フィリップ・ピネルは当時の精神科での治療法に疑問を持っていました。

患者は精神病だ、というレッテルを貼られ、閉じこめられたり血を抜かれたりする治療が現実に起こっていたそうです。

その一方で患者に対して思いやりのある態度で接している看護師が付き添っている患者たちの状態が良くなっていることを観察していました。

そこでピネルは患者を尊厳ある存在として認め、道徳的に対応していくことで患者の状態が良くなっていくのを知りました。

道徳療法は人としての生き方を推奨され、18〜20世紀初頭にかけて日本を含む世界へと広まっていくことになります。


・アーツアンドクラフツ運動

作業療法のもう一つのルーツは19世紀のイギリスで始まったアーツアンドクラフツ運動と言われており、特に有名な人物としてウィリアム・モリスがいます。

産業革命後、人々は工場で大量生産された日用品を使って生活するようになりました。

それまでは自分の生活で使う物は自分で手作りしていました。

つまりそれは世界に一つしかない貴重品だったのです。

これに気づいた人々が手作りの良さを認め、アーツアンドクラフツ運動を起こしました。

この運動を通して人が想いを込めて作った作品を使う日常を豊かだと感じる人々が増えてきます。

道徳療法とアーツアンドクラフツ運動の精神は作業療法を誕生させましたが、順調に発展はしませんでした。

その要因に19〜20世紀初頭にかけて起こった経済不況があります。

これにより世界経済は大きく変化しました。

欧米では移民が増えたことで経済格差を生みます。

新展地不適応となった人々などで精神科病院では患者数が急増し、人もお金も不足していきました。

結果、道徳療法も実践する余裕がなくなってしまうことになります。



・社会背景

社会福祉の基礎になったと同時に、作業療法を支えるきっかけとなった社会運動、それがセツルメント運動精神衛生運動があります。

精神衛生運動により、予防を含めて精神病を考えるようになりました。

また貧富の格差を問題視する富裕層の人々によるセツルメント運動も広がりました。

こうした社会背景の中で、人々や社会をより良い状態にするために作業が使われるようになっていきます。



3、需要-誕生と戦争中の再建病院での活躍

・アメリカ作業療法協会の誕生

1923年にアメリカ作業療法士協会が発足され、作業療法をより発展させていこうと言う動きが見られました。

精神科医のウィリアム・R・ダントンと建築家のジョージ・E・バートンが中心となり、作業療法士協会設立メンバーを考えました。

そこでソーシャルワーカー、看護師、高校教師が選ばれ、さらに建築家が加わったことで、作業療法は学際的、国際的なものになっていきました。



・再建助手

アメリカに作業療法士協会が誕生した1ヵ月後、アメリカは第一次世界大戦に参戦しました。

アメリカの医師たちは理学療法士(以下、PT)やOTの業務を行う再建助手を戦地へ派遣しました。

戦争によって目の前で人が死ぬのを見た兵士の中にはショックによる精神症状を示すものも現れ、そのために作業療法が求められました。

戦地で手工芸を行うことで兵士たちが回復していく姿を見て作業療法の価値を認められるようになります。

アメリカ政府は負傷兵たちの生活を保障するために職業リハビリテーション法などの法律を作ります。

こうした法律はOTに活躍の機会を提供することにもなりました。

しかしOTは軍での地位は与えられず、作業療法を本当に必要な医学的治療と認める医師が増えることはありませんでした



4、拡大-リハビリテーションとともに普及
・リハビリテーション

軍の指導者たちは作業療法を「患者を元気づけるボランティアのような存在」としか見ていませんでした。

その結果、PTと同様に身体の耐久性、関節可動域や筋力、自助具について関わることがOTの業務になっていきました。

第二次世界大戦が終結した後は傷病兵のリハビリテーションが世界各国に広がっていくことになります。



・作業療法士協会

(1)世界作業療法士協会(以下、WFOT)
1917年にアメリカ作業療法士協会(以下、AOTA)が生まれた後、世界各国に作業療法士協会が設立されていきました。

1952年には10カ国が参加して会議が開かれ、世界作業療法士連盟が設立しました。

WFOTは1959年に正式に非政府組織となり、OTになるための教育基準も定めていきました。



(2)日本作業療法士協会(以下、JAOT)
1965年にJAOTが誕生し、1972年にはWFOTに正式加盟することになります。



5、見直し-作業療法の本質
・作業療法の定義

1960年のAOTAの定義には作業療法は「患者の主治医により処方され、作業療法士により実施される」とあります。

その3年後、スパックマンは心理社会的適応を促す「通常の活動」を使うことが作業療法の独自性だと述べ、医師の指示と言う要件を外しました。

1993年の定義では1980年に世界保健機関(以下、WHO)が発表した国際障害分類(以下、ICIDH)の用語が含まれました。

そして2000年以降の定義には「作業を使った」「作業を通して」と言う言葉が登場し、いよいよ「作業」によって作業療法を説明する時代に入ることになります。


・作業療法の核

作業療法は誕生当初から「わかる人にはわかるが、わからない人にはわからない」性質を持っており、みんなが「これが作業療法だ」と言う説明を求め始めました。

1997年にカナダ作業療法士協会は作業が作業療法の中核であると明言し、その後世界中で「occupation=作業」と言う言葉で作業療法を説明する機運が盛り上がっていきます。

2018年JAOTも定義を改定し、作業と言う形を使うようになりました。


6、理論の出現
・作業行動

1960年アメリカのOT、マリー・ライリー子供の遊び退職者の趣味までを含み作業行動として考えることを提唱しました。

作業行動は一人一人がどんな遊びを好み、何が得意で、何をして人生を送ってきたか、に焦点を当てて物事を考えることを奨励します。

作業行動を学んだOTたちは作業歴興味チェックリスト等の評価法や人間作業モデルを考察しました。



7、基盤づくり-理論とエビデンス
・作業療法全体を説明する理論

1980年代に入り、作業療法の原理を語り、作業療法実践を説明する理論が誕生し始めました。

1980年から2000年は作業療法の概念的ルネサンスと呼ばれており、作業療法の本質をOT自身が明らかにしようと言う努力が始まります。

作業療法は何に関わり、何を行い、どのような成果を出すかを説明する理論が生まれ、

研究により作業療法の効果を証明するエビデンスが明らかになり、

さらに理論が洗練されていく時代に入ります。



・作業療法のエビデンス

1990年代からエビデンスに基づいた医療(以下、EBM)が注目され始めた。

EBMとは実際に効果があったと臨床研究によって証明された治療法を奨励するものとされています

作業療法の効果は作業で示すべきだという考えが生まれ、作業療法のエビデンスを示す評価法が開発されていきます。

アメリカのOTアン・フィッシャー評価も介入も成果も作業で示すことを提案した。

作業療法では治療法は「作業」、成果は「健康」とします

そのためには「健康」とは何を指すかが重要です。

WHOが1986年に発表したオタワ憲章では

「仕事、生活、余暇のパターンを変更することは健康に重要な衝撃を与える。
仕事や余暇は人々にとって健康の源である。
社会が仕事を組織する方法が健康な社会を創造する」

と述べています。

健康の定義→1946年に発表した(WHO)では「単に疾患がない、虚弱でないと言うことではなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態」

であるとされています。



8、これから-ビジョンと発展
WFOTは作業療法とは何かを説明する声明書を発表し、AOTAは統一用語を作ったり、枠組みを明示したりして、作業療法の社会的認知度を高めています。



・求められる資質

世界作業療法士協会の倫理網領には作業療法の資質として以下の4点が挙げられています。

インテグリティ:一本筋が通った芯のある人格者であること

信頼性:嘘、偽り、ごまかしがないので信用できるという性質

オープンな心:偏見や思い込みに支配されず誰に対しても広い心で関わりを持つ親しみやすい態度

忠誠心:周囲の人々や社会からの正当な期待に応えようとする真面目さ



・作業の視点

(1)作業科学
※ここは以前紹介した「作業」って何だろうの読書感想ブログを参照ください。


(2)作業中心の実践
クライエントにとって意味のある作業を重視した作業療法作業を基盤とした実践(OBP)、作業に焦点を当てた実践(OFP)、これらを総称して作業中心の実践と呼んでいます。

OBP→クライエントが実際に作業を行う
OFP→クライアントの作業から目をそらさずに作業療法を行う

これからの作業療法は作業中心の実践の価値を世の中に示していくことが求められます。

(3)作業リテラシー
作業にまつわる現象を作業の言葉で説明する力のことを指します。

作業リテラシーを習得することで、より洗練された作業療法を行うことができるとされています。



・将来ビジョン

作業を治療に使うと言うアイデアは古くからあり、時代の波に流されながらも、消えずに残り続けました。

作業療法は多様で柔軟に変化するため、専門職として分かりにくいと言われてきました。

しかし多様化、複雑化する現代社会において、作業と言う核を持つ作業療法は発展し続けています。

作業の効果を最大化する知識や技能を持つ作業療法士を未来は必要としています。



以上です。
なかなかのボリュームになってしまいました。。。

今回紹介させていただいた内容は本書のほんの一部です。

もし作業療法の歴史・理論・実践に興味関心のある方がおられたら是非本書を手に取っていただけると嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
posted by Active at 09:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 泉北(室之園の)日記