どうも。
泉北 兼 心意気実践チームのむろのぞのです。
今月の本はこれ。
しょぼい起業で生きていく
この本の説明の一部にはこのようなことが書かれてあります。
現金だけが儲けではない…
「計画」も「お金」も、「経験」も不要。
多少のコツさえつかめば、わりとふつうにできる、逃げても生きてくための、生存戦略。
私は30代前半頃あたりから「逃げる」ことの大切さを実感するようになりました。
20代の頃はとても「逃げる」なんて行動は取れなかったし、恥ずかしいとさえ思っていました。
なぜそこまで変わったのか。
たぶんそれは「勝つ」ことよりも「負けない(生き残る)」人生を送ることの方が自分にとってより幸福感を得られると感じるようになったからだと思います。
なのでいまは自分が弱い部分はさっさと素直に受け入れて、素直に人に頼る(甘える)。
でも「このフィールドでは負けない(生き残ることができる)」という軸はきちんと持つようにする。
そう考えて行動するようになったことでストレスを感じることが驚くほど減ったように思います。
この本はいかにノンストレスな生き方をしていくかが書かれています。
さらにその生き方は自分自身だけでなく、他者に対してもノンストレスな生き方を勧める(誘導する)ことこそが大切である、と著者のえらいてんちょう(えらてん)さんは述べています。
私はこの本を読んで完全に作業療法だ、と感じました。
と同時に自分が泉北事業所に入職した頃に色々な取り組みをしていたことを思い出しました。
今回は蒸し暑い夏にはぴったりなあっさり読書感想ブログだと思います(あくまで個人の感想です)。
お時間ある方は是非読んでいただけると嬉しいです。
●はじめに
従来の「起業」というイメージとはまったく別の「多額の開業資金」も「特殊な技能」も「綿密な事業計画」もいらない「しょぼい起業」という新しい考え方とその方法
1、「しょぼい起業」をはじめてみよう
・生活の資本化(=コストの資本化)
毎日の通勤、通学(移動)が「輸送」に変わる
・生きてるだけで絶対にかかるコストが利益になる
もともと自分が食べる食事を多く作る(例:1人分→10人分)
余った分(9人分)を売る
自分の生活をすべて自分の労働で満たし、余ったぶんは売って資本化する(自分のためにしている家事を労働化させる)
・「しょぼい起業」は不況に強く、つぶれにくい
生活のなかでやれること、日常やっていることを事業化する
・持っている資産を使って稼ぐ
ガレージで停まっているだけの車がお金を生み出す
この生活の資本化(=コストの資本化)という言葉を聞いたとき、真っ先に思い浮かんだのは仕事で定期的に行っている居宅事業所等への営業訪問でした。
私の事業所は堺市にありますが、私の家の近く(事業所から20〜30分離れた場所)にも意外とお世話になっている居宅があります。
そういった場所へはなかなか仕事中に伺うのは時間がかかるため、後回しになりがちです。
でもそれを家に帰るついでに訪問する、という発想をもつことで、生活を資本にすることができていました。
当時は特に何も考えずに動いていましたが、この本を読んで点と点が繋がったような気がしました。
2、「協力者」を集めよう
・協力してくれる人が自然と集まる「正しいやりがい搾取」
第一段階→こちら側が何も頼んでいないのに、人が自由意志で何かをしてくれる。
第二段階→確かに人に頼んだが、その人はそれをやることが好き(やってあげたい)なので、無料(あるいは格安)で動いてくれる。
・「友好関係」が、お金以外の対価を生む
友好関係にある人を増やすためにどうするか
→
まず店を空けておく
居心地の良い空間を作る
居心地の良い場所にする
挨拶まわりをする
近隣の人の仕事を手伝う
「貸し借り」「信用」→「生活資産の労働力化」
「生活や資産を信用化する」→それを労働力化する→資本になる
第3段階
「相手が別にやりたくないことを(お金も払わずにあるいは格安で)やらせる」×
Twitterで普段イラストを描いている人に無料で絵を描いてもらうことを依頼する(「無料で書きます」なんて一言も言ってないのに)
↓
ただで描く義理がない。
だからやりたくない。
やりたくないことはただのストレス!!
・「ノンストレス」な世界を作れば人は動く
生活・資産の労働力化、正しいやりがい搾取
→
「ストレス」「ノンストレス」の関係に近い
『ライフワークバランス』とは少し違う
しょぼい起業家の立ち回り→ノンストレスでやってもらえる世界を構築していくこと
気持ちが良い(=ノンストレスな)環境でないと人は働かない時代になった
"やりがい"とは・・・
やるだけの価値(を感じて生まれる心の張り合い)
『ワークライフバランス』ではなく『ストレス、ノンストレスバランス』の時代に入ろうとしている
私がこの本を読んで作業療法だ、と感じたのはこの章です。
この「正しいやりがい搾取」こそ作業療法ではないかと感じました。
私たちの仕事は大きな枠組みでみればサービス業です。
ただし、ファミリーレストランのように上げ膳据え膳を行ったり、ホテルのようなホスピタリティを行うわけでもありません。
私たちが提供するサービスは利用者さんが持っている力を最大限に引き出せる環境を準備したり、身体機能を整えたり、利用者さんにとって大切な作業を利用者さん自身が再び行えるようになるのを支援することです。
したがって喫茶の準備をしていただくこと、食器洗いを行っていただくこと、掃除や洗濯をしていただくこと、等々これら全てがサービスになり得ます。
ただし本書にもあったように、「相手が別にやりたくないことをやらせる」という作業を提供した場合はただのやりがい搾取(私たちの自己満足)でしかなく、利用者さんにとって意味のある作業を十分に評価できていないことになります。
この本を読んで、えらてんさんはきっと良い作業療法士にもなるんじゃないかなと感じました。
3、しょぼい店舗を流行らせよう
・広告宣伝費なんて一切必要ない
お金をかけずに起業し、利益を出すか
→すぐにあるものを資本化し、労働力に変え、利益に替えていくか
→今までお客さんでなかった人をどうやってお客さんにしていくか
・「無料の品」で店の前まで来てもらう
「ゴミではないが値段をつけても誰も買わない」ものを無料で人にあげる
この章を読んで思い出したのは泉北で定期開催していたリハパブ(運営推進会議)でした。
ここでは「流行らせる」という言葉を「泉北事業所を知ってもらう」という言葉に変換します。
初めて私が本格的に運営推進会議に参加したとき、手作りのチラシを作り、ひたすら近所にポスティングして回りました。
ポスティングを通して初めて認知していただいた方、存在は知っていたが何をしている所かご存知なかった方。
当日も手作りの飾り付けをしたり、スタッフそれぞれの強みを活かした取り組みをしたり、とまさにお金をかけない宣伝を行なっていました。
この行動をしたことで実際にご利用へと繋がり、いまでもお元気に通所されている利用者さんがおられます。
リハパブを重ねていくことで強みを活かした取り組みはスタッフだけでなく、利用者さんの強みも活かす取り組みへと発展していきました。
民間のフィットネスジムに通っている利用者さんに体操講師を依頼したり。
植物(土いじり)が好きな利用者さんに当日来られるお客さんへのお土産としてミニ寄せ植えを作っていただいたり。
書道の先生をされていた利用者さんにプチ個展を開くことを提案したり。
まだまだ元気だが自宅での役割が少なくなってきている利用者さんにお客さんへのコーヒーのおもてなし(ウェイトレス)や食器洗いをお願いしたり。
手先が器用でどんな備品も手作りで作成できる凄腕を持った利用者さんにお客さんへのプレゼントを作ってもらったり。
さらに進化(深化)したリハパブに来てくださった方(ケアマネジャーさん)からもお褒めの言葉をいただき、数日後にそのケアマネジャーさんからご依頼をいただくことができました。
この本を読んだとき、自分が今まで泉北事業所で取り組んできたことが、まるで一冊の本になったかのような錯覚を覚えるくらい、実体験と本書の内容がリンクしていました。
なかなか私と全く同じ経験をした人もいないと思いますが、この本が単なる起業したい人向けのものではなく、会社勤めの人間でも起業したような感覚で仕事をすることができることを知ってもらえたらなと思います。
以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうごさいました。