2022年04月19日

自然に言える「おはよう」

水野さん2.jpg


先週蒔いたベビーリーフの種。
すぐに芽が出てプランターの中がみっちりになりました。
そろそろ間引きをした方が良いかもしれません。
ST
水野です。


とある失語症の利用者さん。
訪問が始まったときには発症から10年近くが経過していました。

開始時から発話はありますが、

ほんまになあ
まったくもう
これがなあ、これやから(のどや口をさわって、しゃべれないという意味)

などの決まった言い回しのみ。
この決まった言い回しは流暢ですが、これ以外は復唱でもなかなか言えませんでした。


身体リズム運動をつけた母音から始め、2行を正確にとなえる練習へ。

http://active-nopsj.sblo.jp/s/article/188839058.html

このときに書いたように、しっかり「聴く」ことに意識を向けて、くり返し練習しました。


・母音の強化
聞き返しの「え?」は自然に出るのに意図的には出せなかった「え」が数ヶ月で出せるようになり母音が安定。

・同じとなえうたを毎回
だんだん余裕の表情で1回目に正確にとなえられる割合が増加。

・となえうたのバリエーション、一回に行うとなえうたの量を徐々に増やす
集中して聴ける時間が延長。

・月ごとに集中的に取り組む行を決める
目的の音が語頭より語中や語尾にあると正確性が上がる。


1年半をざっとまとめるとこんな経過。
途中コロナ感染で1ヶ月位お休みになったりもありました。


ただ練習でよい変化がたくさんあり、それをお伝えしても、ご本人は自覚できません。
ご本人が確実に「ここが変わった!」とわかる何かを作りたいと思いました。


ここ数ヶ月の短期目標は

「おはよう、ありがとうが自分から言える」

としました。


利用者さんはどちらも復唱はできます。
おはようと言われれば、おはようと返せます。

ポイントは「自分から」

訪問してお会いしたときに「おはよう」
では今日はこれで終わりましょうで「ありがとう」

タイミングよく自分から言えるかどうか。


訪問して無言で利用者さんの顔を見て、(ちょっと目で圧をかけて)何でしたっけ?と促す日がしばらく続きました。

利用者さんは真剣に

「なんやなんや、お、お、おはよう。おはようか?おはようか?」

という自然とは言いがたい反応が多くありました。



今週、訪問したとき、私の顔を見た瞬間に

「おはよ」

出ました!

言い方が何だか渋くて、きっと本来の利用者さんの言い方なんだろうなと感じる、自然さがありました。

「おはよ」までの道のりは長かった。


これからもできたり、できなかったり、そのときどきによってあるでしょう。

利用者さんご自身も前へ進んでいると感じながら、少しずついけたらいいなと思います。


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