どうも。
実務者研修担当のむろのぞのです。
今月11日に実施させていただいたスクーリングの報告をさせていただきます。
今回のテーマは「認知症」。
なぜ実務者研修に「認知症」を取り入れているかは去年のブログで書いていますので、興味ある方は読んでみてください。
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去年のスクーリング内容からいくつか変更した点があり、本ブログではそのへんを中心に報告させていただきます。
●ニンチについて
まずは私の実務者研修ではお馴染み「松本リハビリ研究所所長のYouTubeチャンネルから学ぶ」です。
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私は認知症をテーマに話すときは必ず「ニンチ」という言葉について改めて考えていただくようしています。
今回は松本さんの動画を補足してお伝えしました。
ちなみに今回受講された方7名(1名吹田からスポット研修で参加してくれました!)のうち、「ニンチ」という言葉を使ったことがある方は5名でした。
その5名全員が「ただ何となく」や、「周りの人が使っていたから」等が理由でした。
※2015年「みんなの介護」での調査でニンチと略されて77%の方が不快に感じた
※2021年の上田諭先生(精神科医)らの調査研究では全体の35%が不快に感じると回答
●薬物療法とその問題点
抗認知症薬ではアリセプト等が有名かと思います。
ただ抗認知症薬を過用、誤用してしまうことがどういった結果になるのか等をお話させていただきました。
詳細は以前に投稿したブログを読んでいただければありがたいです。
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※フランスは2018年に抗認知症薬を保険適応外としました。言い換えるならフランスは認知症を薬で治す、という考え方をやめたということでしょうか…
●エビデンスから考える認知症
今年は受講者全員療法士であったことから、エビデンスという視点からもお話をしてみました。
参考著書は以下のものです
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人生の目的を持って生活している方はそうでない方に比べてアルツハイマー型認知症発症リスクが48%も減少させることができること。
また目標設定の有無については健康関連QOL、自己効力感などの主観的側面のみではありますが十分効果があることが証明されていることをお伝えしました。
●ワーク「あなたが認知症になったら・・・」
前半での講義を踏まえて、自分が認知症者になったら職員の方にどんなことを大切にしてもらいたいかを少し考えていただくことをしてみました。
ほんの一部ですが以下は皆さんが考えてくださったワークの内容です。
「子供の頃から動物と過ごす環境だったため、動物がいる環境を作ってほしい」
「みんなの前で絶対恥をかきたくないからトイレのことは常に気にかけてほしい」
「たぶん自分の子どもやお嫁さんからは煙たがられると思うので面倒くさがらず、目を見てゆっくり話を聴いてほしい」
「感情は残るはずなので自分でできること(排泄の後始末など)はさせてほしい」
「自分がいる前でコソコソ話されると悪口を言われているように感じてしまうので、そういった点を配慮して関わってほしい」
「認知症であることを隠されたくないから周りの人にちゃんと自分が認知症であることを伝えておいてほしい」
「色々考えているときに急に声をかけられたり、肩を叩かれたりすると不安になるので、ちゃんと視線を合わせてから関わってほしい」
●ロールプレイ「認知症ケアについて自分の思いを伝えよー!」
研修最後は講義、ワークで学んだ内容をどうやって人に伝えるか、というロールプレイを行いました。
振り分けた役は以下のような感じです
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本年受講生の皆さん:介護リーダー役
スポット研修で参加してくださった吹田の介護スタッフの方:新人介護スタッフ役
室之園:認知症ケアなど全くわからず我流の介護(不適切ケアと呼ばれるようなことをガンガン使用しました)で新人介護スタッフを指導する先輩介護スタッフ役
ロールプレイの様子を撮影できていなかったのが大変残念でしたが、笑いあり、でもピリピリとした緊張感もあり、とても考えさせられる時間でした。
不適切ケアを使用している先輩介護スタッフを徹底して指導する方。
全体の業務の流れを考えて行動している、という先輩介護スタッフの気持ちを汲んだ上で話を進めていこうとする方。
先輩介護スタッフの不適切ケアのみを責めるのではなく、「どうやったらうまくいくか一緒に考えましょう」と相談するような形で進めていく方。
ロールプレイを重ねるなかで修正し、どうすればみんなが良い方向に進んでいくことができるかを考えることができたと思います。
自分自身が認知症ケアを理解すること、実践することはもちろんですが、それを自分だけではなく、周りの人とも共有していくことが介護には求められます。
介護は決して一人ではできません。
本研修を受講している皆さんは介護リーダーに求められる人材でもあります。
もう少し先の話ではありますが、そういった感覚をスクーリングのなかだけでも体験してもらえたことで何か気づきを得てもらえたらと思っています。
以上です。
少し長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。