2018年01月16日

社内メルマガ”アクティブ流”2月号 職員紹介 作業療法士 武優作さん 後編「自分の苦しい経験を踏み越える 20年以上引きこもりだった利用者さんとともに」

アクティブ職員紹介
作業療法士(5年目) 武優作さん(大阪)
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実は武のOT養成校の4年間は暗黒時代だったらしい。

ずっと病んでいた。

さまざまなストレスが積み重なっていた。

授業中に過呼吸で倒れ、救急車で運ばれた。

そこから学校に行けなくなった。

授業に出ることを考えただけで苦しくなってしまう。


学校までの道のり。

今日はここまで行く。

今日はここまで行く、と少しずつ慣らしていった。

学校の前まで行って、引き返したこともある。


武の辛い状況を理解してくれる先生がいて、

「学校まで来られなくてもいいよ。ここまで来ました、帰りますと電話してくれれば、それでいいから」と見守ってくれたそうだ。


それまで通り授業が受けられるようになるのに3ヶ月くらいかかった。


このできごとが武にとってトラウマになった。

「人前に出る、人前で話すことが怖くなってしまいました」武は言う。

また、過呼吸が起きたらどうしようと過剰に構えてしまう。


アクティブに入職してからも、人前で話すことが求められる場面で苦しくなることがあった。

前兆がある。

違和感をもったときには少し横になって休ませてもらったり、外の空気を吸ったりする。

すると少しずつ落ち着いてくる。

「今は自分でコントロールができるようになってはいますけど」

インタビュー中、武がギターを奏でながら話す場面があり、ギターは武の心の安定剤のように見えた。


このときの苦しい経験が後に生かせることになろうとは。


20年以上、引きこもりだった脳梗塞後の利用者さん。

過呼吸で武と同じような状況の後、周りから理解されず、失敗経験ばかり積み重ねた。

外に全く出られなくなってしまっていた。


「とにかく話を聞きました」武は語り始めた。

40分間ずっと話を聞いていたときもあった。

利用者さんには共感してくれる人、わかってくれる人がいなかったと思ったから。

その方が話すといつも周りに「でもね」と話を折られて最後まで聞いてもらえなかったから。

ずっとうんうんとただうなずいて聞いてくれる人が必要だと思ったから。


迷ったが、利用者さんに自分の過呼吸の経験も一部伝えた。


利用者さんは、温痛覚・嗅覚・味覚も鈍麻している方だった。

お風呂の温度調整ができてきた。

料理の味付けができるようになる。

利用者さんの言動が少しずつ変化した。

ある時、利用者さんが「買い物とか行けたらいいなあ」と言われた。


挑戦を始めた。

まずは玄関の扉を10p開ける。

それで「もう無理」と言われれば、「そこまでにしましょう」。


「しんどくなったらいつでも言って下さい」と声をかけつつ、じわじわと段階をふんだ。

武は自分が先生にしてもらったことを思い出しながら、方法を探っていった。


「行こう」と想定するだけで、利用者さんの自律神経は乱れ、脈が増えた。

漢方薬を飲んだら落ち着けることがわかって、外出の30分前に飲むように決めた。


変化をノートに記して残すようにした。

自分たち2人以外にもその変化や努力をわかってもらうためでもあった。


それが自信になっていった。


「今では、一緒に買い物練習に行けるようになったんです」

「先日は僕に手紙を書いて下さいました」

武の口調からは自負が感じられた。

武のこの利用者さんとの取り組みは、武のトラウマを和らげる武自身のリハビリテーションでもあったのではないだろうか。


武にOTになってよかったと思う瞬間をたずねた。

「たくさんありすぎて、一番はなんだろう」と武はしばらく悩んだ。

「病気になって、落ち込んでいる人が、歩きたいとか活動参加でも何でもいいですけど、その向こう側を見つけられて、意味のある作業を二人で探り合って、みつけて、がんばってそれができたとき、達成度はいろいろだけど、『できた!』『できましたね!』というのが鳥肌が立つ瞬間です」

「OTになって100%よかったと思っています」武の笑顔は晴れやかだった。



武が利用者さんの変化を書き留めたノート


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インタビュー・編集)

メルマガ編集委員 ST水野江美(松原)

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