2018年05月20日

”アクティブ流”6月号インタビュー 言語聴覚士 金井洸祐さん 後編「介護福祉士×言語聴覚士のハイブリッドキャリア 

アクティブ職員紹介
言語聴覚士(3年目) 金井洸祐さん(大阪)
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前編はこちら
http://active-nopsj.sblo.jp/article/183004455.html


後編
淡路島の養成校へは実家の神戸から通った。

この年で両親に経済的な負担をかけるわけにはいかないと土日はずっとアルバイトをした。
選んだのは、身体障害者のヘルパー。
「重度の障害者は親がいなくなったら施設入所しかないのはおかしい、親がいるうちから自立させて選択肢を増やそう」という方針で、シェアハウスももっているようなヘルパー事業所だった。

朝8時から夜8時間、12時間付き添う。
やるべきことがきっちり決まっているわけではない。
その方がそのときやりたいことをいっしょにやる。

担当していたのは意思表出が難しい方だった。
事業所のスタッフに相談すると「この年齢の方が当たり前にやりたいと思うことをやってあげたらいいんじゃない?」と言われた。
とにかく探りながらいろいろやってみた。
映画に行ったり、モーニングに行ったりしたらしい。

「その方がやりたいことを想像して、試してという経験はとても勉強になりました、本当にその方がやりたいことだったかどうかはわからないですけどね」と金井は笑った。


ST養成校卒業後の進路を考えたとき。
在宅もいい、でも、病院もいい。
バイトの身障ヘルパーの仕事を正職員としてやることも考えた。
養成校の就職説明会でアクティブの資料が一番上にあり、「おっ!」と思った。
阪東代表と話して「ここだ」と直感。
内定をもらってからは、アクティブのブログを見ては「早く働きたいな」とわくわくしていたという。


就職1年目。
働き始めは2週間下痢が止まらなかった。

1年間、リハビリができない、もどかしさをずっと感じていた。

期待が高かったせいもあっただろう。
「何のためにSTになったんかなあと20回は思いました」と金井はデイの送迎など、本来のST業務以外で慌ただしかった日々を思い返した。

やりたいと言えば、何でもやらしてもらった。
ずっとやりたかった介護職向けの嚥下セミナー。
デイで口腔評価をしている方のお宅への訪問。

でも、しんどかった。

立場の近い人、気軽に相談できる人がいなかった。
いっしょに「なんでだろうね」と考えてくれるような人がいたらよかったと思う。

2年目、訪問が増えた。
「行かせてもらえるありがたさと、経験が浅い自分が行くという申し訳なさが混ざりました」。
バイクでの移動中は、いつも反省しかなかったという。

1年位、訪問している嚥下障害の利用者さん。
身寄りがなく、ご家族のように熱心に関わっていたケアマネージャーに「きざみ食は無理ですか?」と聞かれた。
本人の意思確認は難しかった。

怖かった。

ミキサー食のままにしておくこともできる。
でも逃げてはだめだと自分を奮い立たせた。

歯科にVE評価を依頼。
咽頭残留はあるが、とろみ茶との交互嚥下でクリアできる、きざみ食OKの結果をもらった。
結果にまた怖くなった。
これで食べて誤嚥性肺炎になったらどうしようとプレッシャーを感じた。

それでも進んだ。

きざみ食にして1か月、肺炎の徴候はない。
利用者さんが「おいしいな」と言ったと聞いた。

これがSTの醍醐味だと思った。
ミキサー食のままでいいやんと自分が逃げていたら、この結果はなかったのだから。


3年目になりそろそろ自信がついてきたのでは?と聞くと「全然です」金井は大きく首を振った。

上司に利用者さんの前では「自信のなさそうな表情やことばは出すな」と言われていると教えてくれた。
わからなくても言い切ろう。
帰って調べて、間違えていたら、訂正していけばいいよ。
これを実践している。

仕事の満足度は50%だという。
訪問は常に緊張していて、気持ちの余裕がないというのが理由だそうだ。
「自分の知識も経験もまだまだなんで」そう話す金井を見ていると、専門職は自信がないくらいがちょうどいいようにも思えてくる。

今後やりたいことをたずねた。
「訪問STプラス自分にしかできないようなことをしたいです」と金井は視線を逸らさず答えた。

言語聴覚士と介護福祉士をかけ合わせた、自分にしかできない何か。
それが何かはまだはっきりとはつかめていない。
忙しい介護職の気持ちも立場もよくわかる。
STの知識や経験を生かして、介護職がうまく仕事ができるように一緒に悩んで考えていきたいと思う。
金井の目には、謙虚さのなかにも野心がのぞいており、頼もしく見えた。

◆インタビュー及び記事編集担当
ST水野江美(松原)
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