2018年07月30日

今月のオススメの一冊。「"病を気から"を科学する」


人材開発室 いとうより

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「"病を気から"を科学する」ジョー・マーチャント著、服部由美訳 講談社

「科学も心も万能ではない。」過敏性腸症候群、がん、うつ、自己免疫疾患、分娩…。最新医療における"心の役割"を緻密な取材をもとに検証。イギリスの気鋭科学ジャーナリストによる知的興奮のノンフィクション!

「病は気から」を科学できれば、自分自身の考えや思い、行動によって最先端医療の効果を最大化できるのでは…とたくさんの興味深いエビデンスや研究結果を知りたくてページをあちこち止まらずにめくってしまう一冊。


以下は、心意気的ナナメ読み。


「社会的"つながり"が健康長寿のカギとなる」

米スタンフォード大学による男性の平均余命が世界的にも高いコスタリカ共和国のニコヤ半島でのありとあらゆるものの影響を分析(2013年)。

食生活に明らかな差はなく、肥満や血圧など健康状態を示す測定値では、ニコヤの人たちは他のコスタリカ人より悪い結果が出た。
ニコヤの人たちは他のコスタリカ人よりテロメアが長い(テロメア:細胞の中で遺伝情報を保つDNAの末端を保護する部分で”細胞分裂の回数券””命の回数券”ともいわれ、テロメアの長さは細胞の寿命、老化の目安となるといわれる)。

テロメアの長さは…
裕福な人たちの方が短い。
毎週子どもと会わない人は半分の長さになる。
一人暮らしならなおさら短くなる。

ニコヤの人たちに一人暮らしは少なく、子どもと毎週会う傾向が強い。家族に対する心理的愛着が非常に大きい。

たとえ貧しくても強い社会的な絆が若さを維持させていると推測した。

引用・参考)
○社会的な孤立は飲酒や喫煙と同じくらい有害で、運動不足や肥満よりずっと危険なものであることを示唆した。
ミシガン大学疫学者のジェームス・ハウスが1988年のサイエンス誌にて報告)

○強い社会的な絆がなければ、あらゆる原因による死のリスクが二倍や三倍にもなる。
(2010年の米の研究より)

○"必要とされること"で高齢者は変わる。
○その歳を重ねた脳を利用し、必要とされているものを社会に還元できる。
○老年期とは人々に還元する時期。
(ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院の神経科学者のミッシェル・カールソン)


テロメアについて
○テロメアに関する研究でノーベル医学・生理学賞を受賞したエリザベス・ブラックバーン博士は「健康長寿を手に入れるための重要な要素。それはテロメアです。病気にかからず、生産的に人生を楽しめる年数に、テロメアという部分が関わっているのです。」
○米 予防医学研究所 ディーン・オーニッシュ所長
「愛情は大切です。孤独で気分が沈んでいる人はテロメアが短く、3倍以上も病気になりやすくて、早死にする傾向にあります。」
▼詳細はこちら↓
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3974/

これらは弊社が提供する生活期、在宅での看護やリハビリテーションで関わる活動・参加にも大きく関係すること。

活動・参加が拡がれば社会的つながりも拡がる。社会的つながりが増えれば活動・参加も拡がるはず。
参考)
人と人とのつながりや信頼関係を意味する、ソーシャルキャピタルの充実度のランクにおいて日本は149カ国中101位。先進国で最低。

仕事としてそれらの直接支援ができるのはわたしたちです。

今の利用者さまや患者さまだけでなく、わたしたち自身やその家族もいずれは歳を重ねて支援を受ける側になる。

近い将来、いずれは自分たちにも還ってくること。

そうなる頃には今の自分たちの身近な世の中を少しでも変えていきたいところです。

今、わたしは築40数年、260戸あまりのマンションの自治会会長を務めています。
毎日、答えのない試行錯誤が続きますが、"新たな出会いと出会い直し"です。自分の仕事や人生にもつながる良い経験です。

わたしたちの仕事から変えることでできることがありそうです。明日から今日からの仕事で、生活で、一歩踏み出してやってみましょう。
posted by Active at 22:07| Comment(2) | TrackBack(0) | 人材開発室
この記事へのコメント
とても面白い本です!

健康長寿以外の話も多彩で、
病をクローズアップして
心を置き去りにしていないか…
考えるにはわかりやすい一冊です。
Posted by 吹田 ウチジマ at 2018年08月06日 08:34
ウチジマさん
コメントありがとうございます。日々の利用者さまとの関わりを介し一緒に勉強しましょう。
Posted by 心意気いとう at 2018年08月09日 20:32
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