2018年10月26日

多職種での関わりで学ぶこと

以前に担当していた失語症の利用者さんからのメッセージを、スタッフから受け取りました。
「どんぐり!」
伝言してくれたスタッフは、「これでわかりますか?」と不安げでしたが、大丈夫、わかります。
今年もどんぐり採集しています。
donnguri.jpeg
数種類のどんぐりをスタッフに託したいと思います。

http://active-nopsj.sblo.jp/article/181850445.html
このブログの後半に出てくる方のお話しです。
今年は何を作られるのでしょうか、報告が楽しみです。
ST水野です。


ある難病の利用者さん。
リハビリ開始時には、人工呼吸器を装着され、コミュニケーションは口型を読み取る方法と、伝の心を併用していました。

当面の意思疎通は可能と判断し、言語療法では、コミュニケーションをとりつつ、楽しみ程度の経口摂取を中心に行ってきました。

数か月後、一緒に担当している看護師さんより、指摘されました。
「通院時のコミュニケーションに困っているみたいよ」
「本人が短く言おうとせず、文で話すから、口が読み取りづらいね」
他の看護師さんからも
「停電で伝の心が使えなくなった場合に備えて、透明文字盤の練習もしておいた方がいいのではないんじゃない?」と助言いただきました。

STとの会話では、ベッドアップはしてもベッド上で大きく姿勢を変えることがなく、口型がだめでも伝の心が使える状態にあったので、意思疎通にさほど困ることはなかったのですが、看護師は更衣や通院前後の移乗など、姿勢が変わり伝の心が使えない状態が多いことがわかりました。

今まで担当してきたALSの利用者さんは、伝の心導入の前段階として、文字盤あるいは透明文字盤の練習をしてきていました。
この利用者さんの場合、介入時にすでに伝の心を使用されていたことで、その過程を飛ばしてしまう形になってしまっていたことに気が付きました。
そして、自分以外とのコミュニケーション場面を想定できていなかった!!と反省しました。

言語療法を、経口摂取とコミュニケーション練習の2本立てに変更。

ご本人には口型で伝えやすくするために、@短く簡潔に、Aゆっくりと、B結論が先、説明は後、を説明し、やりとりのなかでも注意を促しました。

透明文字盤の導入では、3タイプを試しました。
@50音順のB4サイズ
A50音順のA4サイズ
Bフリック式のB4サイズ

Bフリック式は行単位の場所を探すのに非常に時間がかかりました。
50音順の@Aタイプは、STとはどちらも使用できそうでした。
ご家族と使ってみていただいたところ、@B4とAA4を比較し、@B4の大きい方が読み取りしやすかったので、@B4を選択。
通院時の使用も想定していたので、可能であれば小さいサイズがいいと思っていましたが、使用時の確実性を優先しました。

コミュニケーションに使う時間が増えたので、今まで聞いたことがなかった病前のエピソード等を聞き、利用者さんがどんな方なのか、ようやくわかってきたように感じています。

「限られた時間のなかで、何に優先して関わるべきかの判断に迷う」
実際に多くあります。
自分の判断に頼らず、他職種の意見に耳を傾けることの大切さを感じたできごとでした。
多職種で関われるありがたさを実感したできごとでもありました。
posted by Active at 10:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ST水野(松原)の日記
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