2018年12月20日

「訪問、好きです。その人の人生に関われるから」。キャリアインタビュー OT肥留川敦(ひるかわあつし)さん(松原)

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お子さんとのベストショット。
「妻の実家がある九州から大阪に帰るフェリーで撮りました」。と肥留川さん。


社内メールマガジン〜アクティブ流〜2019年1月号のキャリアインタビューでは、子育てと仕事の両立に取り組み真っ只中のOT肥留川敦(ひるかわあつし)さん(OT10年目、入職年月:平成23年4月、所属:松原)からお話をうかがいました。


1.今の仕事に至ったきっかけ、経緯

子供の頃から父の仕事で転勤の連続でした。その中でも気に入った関西、大阪にある大学の社会福祉学部に在籍していた2回生の時に、福祉系の仕事に専門性をあまり感じることが出来ませんでした。より専門性を身近に感じることができたリハビリテーション職を将来の仕事として考えるようになりました。
結局、大学在学中のリハ関連の学部への転部は単位取得・認定が不可のため一旦は断念。
卒業後は某福祉事業団に就職し、肢体不自由児療護施設で児童指導員、障がい者支援施設で介護職として働いていました。その施設で勤務していた同期入職OTの遊びを取り入れたアクティビティを見て、あらためてOTになりたいと思うようになりました。勤務先の施設の理解と協力もあり、早出と土日出勤をしながら大阪物療専門学校OT学科夜間部へ入学したのが28歳の時でした。そして4年間の“通勤⇒通学⇒通勤”の生活を経て32歳の時にOTになりました。
卒業後は施設と病院勤務を経て、生活課題が目の前にあるということもあり、在宅、訪問リハのアクティブでの仕事に従事することになりました。



2.今の仕事、働き方

木、日曜日がお休みで、訪問看護ステーション松原で4.5日/週、デイサービス松原で0.5日/週で働いています。


3.仕事での苦労、醍醐味

医師からの医学的な情報、画像等を収集するのにいつも苦労します。ケアマネージャーさん、ご家族から聴き取りをすることから始まり、利用者様の主治医等の受診日を把握し、質問・確認事項の要点をまとめたメモを医師へ手渡してもらったり…何かと工夫が必要でいつもひと苦労しています。
ぼくとの関わりで「生活が変わった」。と感じてくれた時が、この仕事の一番の醍醐味と思います。
病院勤務時代に回復期リハ病棟の患者様に自助具として食事用カフを作成しました。フィッティング-調整を繰り返して提供すると、ご自分でごはんが食べられるようになりました。この時に患者様から「生活が変わった」。と有難いお言葉を頂きました。これはぼくにとっては最大のほめ言葉で、今でも忘れられません。


4.仕事の魅力、やりがい

OTは“もっと専門性やエビデンスを”といわれます。その反面、OTはカタチに囚われることなく何にでも関われる視点を持っていると思っています。なぜその人はこの作業をするのか、生活動作の分析、性格、メンタル面等々へのOTの視点は活かせると思っています。そして、その人の人生に関わることができるのがこの仕事の一番のやりがいです。その一方で責任も大きく感じます。


5.仕事をしていくうえで大切にしていること、心がけていること

訪問リハで関わった時間以外に利用者様が1週間をどのように過ごされていたかを毎回確認するようにしています。リハ以外の時間は膨大で、その時間の過ごし方がQOL向上にもつながり、大切と考えています。


6.家庭と仕事の両立の秘訣は?

子供は9歳の長女、6歳の長男の二人です。妻も仕事をしていて家事を分担しています。休みの木曜日は家事と子育てをぼくに任せてもらい、妻に仕事帰り1人でゆっくりと外出できる時間を作ったり、子供が学校に行っている間に妻と二人でランチに行ったり息抜きをしています。
木曜日の休みは”ひとりグルメツアー”に行くことがあります。特に昔ながらの洋食屋さんが大好きで、住んでいる堺にある「トミーパート2」、「味の店一番」、「れすとらん浪花亭」が超おすすめです!ラーメンはこれも堺にある「九州ラーメン六五六(むころく)」でコショーたっぷりなチャンポンが最高です!


7.作業療法士人生を左右したひと、出来事、言葉、一冊

福祉事業団の同期入職のOTです。
「子供は大人みたいに普通にリハビリを受けてくれんのんじゃ!」と野球好きで阪神ファンの子にバッティングにPNF理論を用いて、遊びを取り入れながら、その子が興味を持ち、その子に合ったリハビリを提供している姿を見て、こんなリハビリがしたいと思い、作業療法士を目指すきっかけとなりました。
実習期間中と卒業後に何度か再会を果たしています。この方は今、広島の方で訪問リハの仕事をされています。


8.キャリアを振り返ると…

介護職の経験から実際に介護している家族様のしんどさや、大変さが分かり、教科書通りの介護ではなく楽な介護、効率の良い介護の提案ができ、現在もその経験が活かせていると思います。


9.わたしの利用者さま自慢

24才で左上下肢機能に障がいのある脳性麻痺の男性。
お母様が「出来るスポーツは色々やらせたい」と障がい者スポーツ大会に出場しています。
マラソン(3km)、短距離走、ボーリング、水泳で好成績をおさめ、部屋にはたくさんのメダルがあります。各大会に向けて、リハビリの中でも想定した模擬的な練習を取り入れています。


10.わたしの作業療法士像・これから仕事でチャレンジしたいこと

療法士が行っている治療の方法をどうやったら患者様自身が行え、どうすれば自分自身の身体と精神の適切なメンテナンスが出来るように一緒に考えること。
患者様が療法士に依存するのではなく、自律できるような関係を心理的な距離感を適切に図りながら構築していきたいです。

今までの介護福祉士の経験を活かした仕事も切り拓いていきたいです。
やってみたいことを具体的に挙げるとすれば外国人介護技能実習生の指導です。2025年には34万人もの介護人材が不足すると言われています。そのため2017年11月1日に外国人技能実習制度の対象職種に介護職種が追加されました。今後、中国や東南アジアからの介護実習生の介護施設等で受け入れが加速すると思われます。
わたしは高校1年時に講道館柔道を現地のアメリカ人に指導する為に、3ヶ月渡米・留学していました教えていた子のなかにアフガニスタン出身で技は粗削りながらもとても強い子がいました。話を聞くと当時のアフガニスタン紛争から家族でアメリカに逃げてきたとのことでしたアフガニスタンにいた頃に軍事訓練も受けていて、それで強かったようです。
何気なく当たり前のように健康で平和に生きてた日本での高校生活が、世界視野で見ると随分狭い世界で生きてたんだなぁとその時に感じたのを今でも覚えています。

大学時代は3ヶ月間、中国でバックパッカーの旅をしました

ともに大きく価値観を変える経験になりました。

加えて、介護福祉士としての重度障害のある方々の介護経験が外国人実習生育成に活かされると思っています。

国際交流や国際貢献に興味があるのでチャレンジしたい分野です。


11.わたしのアクティブ自慢

社長の奇抜な発想と大胆な行動力。
一例を挙げるならば、なめだリハビリテーションクリニック開設などの、先を見据えて医師を雇用するという奇抜な発想と大胆な行動力。

療法士以外の他のスキルを持った職員が多い。調理師・OT伊藤さん(吹田、心意気実践チーム)の出張料理人もしかり、僕やOT室之園さん(泉北、心意気実践チーム)の様な介護福祉士、ゴルフ経験者のOT井上さん(堺デイ)のゴルフチーム…等々


作業療法士 肥留川 敦さん 略歴
福井県敦賀市出身の41歳。平成21年3月大阪物療専門学校卒業。
32歳の時のOT学科卒業後は重症心身障がい児施設に入職し、脳性麻痺、筋疾患、二分脊椎、後天性脳障害、骨系統疾患、染色体異常、発達遅滞、学習障害、知的障害、自閉症、切断、頭部外傷、てんかん等の入所者へのリハを提供するというOT1年目を過ごす。先輩OTへの症例レポート提出と症例発表を繰り返し経験。ご自身とは無関係なものながらも職場内の人間関係の不和があり、希望していた配置転換も叶わず1年で退職。2年目からは回復期・療養型の病院勤務を1年経験。生活課題が目の前にあるということもあり、在宅、訪問リハがフィールドの弊社に入職。勤続7年を超え、現在に至る。
いつも黙々と仕事をこなし寡黙で安定したイメージの肥留川さん。あまり表には出さないようですが“根っからの訪問好き”で生活課題を見つけるOT的視点と、寡黙なイメージながらも案外⁈“人好き”で話すとよくしゃべる肥留川さん。利用者さん目線かつ親身さを持った肥留川さんならではの関わりで、地域からの信頼度、安定感が高い生活期・在宅OTです。

〜キャリアインタビューを終えて…OT肥留川さん(松原)からひとこと〜
 大学以降どうやって自分が生きてきたか、改めて見直す事が出来ました。

■キャリアインタビュー記事編集担当より■
今の仕事について聴くと肥留川さんは、「訪問好きですよ。その人の人生に関われるから」。と開口一番に淀みなく話しがありました。

その言葉から周囲の動きに気をとられることなく安定的に黙々と仕事に取り組まれている理由が少し分かった気がしました。

そんな好きな仕事に没頭しながらも、家庭でも妻子への配慮を忘れずに自分の仕事の平日休み(木曜日)をうまく活用して、妻の家事・子育ての“息抜きタイム”を意識的に作ることを習慣化されています。

仕事も家庭生活のどちらも大切にされていること(ワークライフインテグレーション)に感心させられました。

好きな訪問リハの仕事で、介護福祉士の経験も活かした支援、関わり…さらなるご活躍に期待大です。
その一方で、肥留川さんは自身とは無関係な職場内の不和により、致し方なく勤続1年程度での転職を2回経験されています。

「前の職場に比べたら全然問題ないです」。と弊社の職場の人間関係についてそう言い切る肥留川さん。
弊社での勤続年数は7年以上あり、前の職場よりも明らかに安心して長く働くことができているそうです。


"皆が信頼し合って助け合いも自然とできる組織の方がパフォーマンス、生産性も高い"というGoogle社での取り組みも参考になります。
Google社内にある数百のチームの分析から、明らかになった唯一の生産性向上の鍵は、チーム内での"心理的安全性の確保"でした。
これは思ったことを安心して言えるような雰囲気をチーム内に作り出すことで生まれてくるもの。
他のメンバーへの配慮、共感、尊重といったところがお互いが持つべき心がまえとして、大きな要点となってきます。


今回のインタビューから、職場内のソーシャルキャピタル※(社会的関係資本≒つながり、絆、信頼関係等)が仕事に及ぼす影響(心身の健康や仕事の成果、健全な職場環境等)とその大切さにあらためて気付かされました。

"つながりのある職場は働く人を健康にする"
"職場のソーシャル・キャピタルは豊かな方が好ましい"
等々…様々な分野の研究でわかってきています。

職場内のソーシャル・キャピタルを豊かにするには、職員各々の生まれ育った世代あるいは時代によって異なる人間関係への考え方を適切にとらえて、それに合わせた方法を施すことが課題になってきそうです。

ソーシャル・キャピタルは地域包括ケアシステムの担い手育成、地域創り、地域リハビリテーションでもキーワードの一つです。

※ソーシャル‐キャピタル(social capital)社会・地域における人々の信頼関係や結びつきを表す概念。抽象的な概念で、定義もさまざまだが、ソーシャルキャピタルが蓄積された社会では、相互の信頼や協力が得られるため、他人への警戒が少なく、治安・経済・教育・健康・幸福感などに良い影響があり、社会の効率性が高まるとされる。直訳すると社会資本だが、インフラを意味する「社会資本」とは異なる。社会関係資本。(コトバンクより)


肥留川さん、お忙しいなか度々インタビューと作成の時間を作って下さり、本当にありがとうございました。


参考・引用文献)
○「"つながり"と健康格差」村山洋史著 ポプラ新書
○「ソーシャル・キャピタル入門」稲葉陽ニ著 中公新書


キャリアインタビュー記事編集担当
人材開発室・心意気実践チーム 伊藤健次郎
posted by Active at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 人材開発室
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