2020年09月01日

大正研修【アップデート】運動の成り立ちからリハビリについて考える(坂口(理学療法士))

大正事務所で勤務している理学療法士の坂口です。

今回は、運動が何故起こっているのかという「運動の成り立ち」をテーマにし、これまでのリハビリ(運動制御理論)と新しいリハビリの考え方(自己組織化理論)について比較しました。
本来であれば、解剖学・神経科学的な観点から説明する方がわかりやすいですが、今回はリハ職以外の多職種の方にも少しでも理解していただけるよう概論という形で説明します。

運動の成り立ちからリハビリについて考える.pdf


【 大正事務所の職員の方々から頂いた質問について 】
@ 自己組織化理論の無意識とは、脳の機能を一部もしくは全て排除した考えでしょうか?

 脳から抹消に向かう下行路と呼ばれる神経経路の中で外側系=錐体路(外側皮質脊髄路、赤核脊髄路)を除く内側系=錐体外路(内側皮質脊髄路など)の神経回路は全て自己組織化理論では重要と考えられています。


A運動制御理論の中の姿勢反射機能との具体的な違いはありますか?

 まず、@の質問にあった外側系と内側系は相反する関係にあり、どちらかが強く働けばもう片方が抑制される性質があります。それを踏まえた上で、運動制御理論の中では随意運動(外側系=錐体路)と呼ばれる意識的な運動、例えばリハビリで細かく歩き方を指導された歩行をしようとした際に姿勢反射(内側系)が行われます。自己組織化理論の中では不随意運動運動(内側系)と呼ばれる無意識的な運動、例えば散歩に行きましょうと誘うと歩いてついてきてくれるような際に姿勢反射(内側系)が行われます。どちらも運動の際に姿勢調節されるという結果に変わりはないです。しかし、外側系と内側系は相反すると言われているため、運動制御理論の随意運動中では姿勢反射を抑制させてしまうというネガティブな結果が生じてしまいます。


B例えば、訪問やデイの利用者さんに対して歩行訓練を行う際に、運動制御理論で関わる場合と、自己組織化理論に基づいて関わる場合との想像しやすい具体的な違いはどのようなものがあるのでしょうか?

 例えば、歩行練習に関して運動制御理論では、杖をつく場所の指導や、歩くときはかかとから接地するようになどの指導をして、それに合わせて利用者さんが運動する。
自己組織化理論では、散歩に行きましょうと言うと、利用者さんが歩いてついてくる。
必ずしも、これらに合わせすぎる必要はなく、ケースによって使い分けてもらえれば良いかと思います。


C自己組織化理論をより効果的にするような声かけはありますか?

・散歩に行きましょう(歩行)
・手を洗いましょう(歩行.立位)
・休憩しましょう(立位.着座)
など、対象者の方が目的に向かって必要な動作をしようとすることができるような声かけができれば良いと思います。


DSTでの訓練では、随意嚥下時と自然状況下での違いを見るため、食事を普通に食べている所を遠くや後方から見て食事場面評価をする時もあります。これらは自己組織化理論に当てはまるのでしょうか?

 無意識化で起こる運動への介入は自己組織化理論下でのアプローチの強みと言えます。そのため、脳幹の延髄に中枢をもつ嚥下運動は無意識化で行われる運動の一つと言えます。嚥下の際には頭頸部と嚥下のリズムが自律的に行われており、そういった箇所も自己組織化理論における治療の対象になることがあります。


神経科学を知ってリハビリをすれば、運動する行為は同じでも、その結果が変わってくるというところが個人的には興味深いところです。リハビリを行う上で少しでも参考になれば幸いです。

ご閲覧ありがとうございました。

理学療法士 坂口
posted by Active at 20:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 大正(報告)
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