ともに行う訪問介護事業所の介護福祉士・作業療法士・調理師いとうです。
身体介護の見守り的援助"共に行なう家事"です。
▼リハビリテーション・ケア研究大会2019金沢
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右手首骨折による手指の拘縮と古い既往歴として頭部外傷による記憶障害などの高次脳機能障害も残存されています。
身体介護の見守り的援助"共に行なう家事"では、訪問リハビリテーションと連携し、安全に包丁使用しての料理や肉類や野菜などの生鮮食料品の買い物、賞味期限の管理、小分け冷凍保管などをサポートしています。
今月もあり合わせの材料で旨いもんを作りました。
第1週目!
訪問して冷蔵庫をいつものように確認すると、利用者さま自ら買い物されていたキャベツと大量のネギがありました。
お好み焼き、ネギ焼き!
同行してくれたOT山本さん(吹田)も焼きます!
先週から残っていた水菜は傷む前に水菜のツナサラダに。
賞味期限切れが近いちくわは甘辛く炒めました。
第2週目!
先週からのキャベツを使い、刻み塩昆布と醤油、味醂、ごま油を加えた和え物を。
鶏肉とキャベツのオイスターソース炒め。
第3週目!
キャベツとウインナー炒め。
小さく切り分けたウインナーは冷凍庫へ小分け保管します。
椎茸を網焼きにしてポン酢で。
第4週目!
またもや大量のネギが冷蔵庫に買っておいてありました。
ネギと白菜の鶏鍋に。
鶏肉からイイだしが出て薄口醤油を加えると旨い!
ネギを細かく切って冷凍庫に小分け保管します。
料理は毎回写真に撮って作業中に確認してもらっています。
これは盛り付けで見た目をキレイにすることにこだわることで、よりワクワク感や楽しさをその場で感じてもらうことを重要視しています。
記憶は情緒や感情の働きに影響されていることがわかっています。
情動を司る扁桃体は海馬の隣にあります。
料理をした際に見たり、聞いたり、味わったり、匂いを嗅いだり…したときに得た感覚情報は大脳皮質から扁桃体に伝わり、好き嫌いや快不快の感情を判断し、海馬に伝えます。
これにより心揺さぶるような出来事は、いつまでも記憶に留められます。
「暮らしの料理学」(NHK出版)の著者で料理家の土井善晴さんによると、
"料理は暮らしをつくる"
"味覚のおいしさは思いがけないご褒美"
さらに…
"食べるという行為は、視覚、聴覚、触覚、嗅覚によって予測し、結果を見極める味覚によって、その予測と結果の誤差に、楽しみや幸福感を味わうもの"
"予想以上のおいしさに出会った時、私たちは喜びを感じ、その喜びは経験に蓄積され、別の機会でおいしさに再会した時に大きな喜びとして蘇る"
としています。
脳科学的な解釈に加えて、土井善晴さんが綴ったこれらの言葉から、利用者さまと行なっている料理は、単なる訪問介護や自立生活支援というより、ほんとに良い記憶や感情面、EQ(心の知能指数)やQOLへの生きたリハビリテーションにもなっているなぁと、料理の持つチカラを実感します。
メモ嫌いでほとんどメモを取らなかった利用者さまが、自宅のカレンダーに自らメモを書き込むようになる等の行動変容が続いています。
「煮卵食べたいからまた作っちゃったよゥ」
と、冷蔵庫に貼ったレシピメモを見て毎週のように煮卵の作り置きができるようになっておられます。
強みをさらに伸ばして、弱みをうすめる…という具合で、まさに記憶障がいをも打ち消してくれそうです。
人の"おいしい''から始まる意欲、動機、モチベーションは、人の行動の大きな源泉になるなぁ…とあらためて思います。
▼「考える食」↓
野崎洋光さんの著書
「美味しい法則」より
ともに行う訪問介護事業所は、なめだリハビリテーションクリニックの訪問リハビリテーションや他訪問介護事業所と連携し、身体介護による見守り的援助"ともに行う"で利用者様の重度化予防、QOL向上、自立生活支援をサポートします。