帰り支度をしていると、利用者さんに「あんたよー、いっぺんこれ取ってくれ」と言われ、見るとマスクを外すジェスチャーをされました。マスクを外すと利用者さんはあからさまにがっかりした顔。
想像していた美人さんではなかったんですね…。
素直な反応すぎて、笑ってしまいました。
マスク生活も長くなりましたね。
ST水野です。
前回書いた続きです。
http://active-nopsj.sblo.jp/s/article/189826147.html
失語症に注意障害や失行などを合併している利用者さん。
前回聴理解に比べ読解が浮動的と書きました。
宿題を出すために読解課題を少しずつ進めています。
名詞絵1枚に対し文字単語の選択肢が2つ。
正しい方を選んで線で結ぶ、あるいは丸をつけるシンプルな課題です。
やっていただくと、できるときとできないときがある。
その差が大きい。
本来の理解力が発揮できれば、問題なくできるはずの課題なのに。
できないときは「わからへんな」と止まってしまう。
問題の解き方がわからない、どうしていいかわからない様子で、たんなる誤答とは異なるように見えました。
何が影響しているか。
1問ずつの提示、絵や字の大きさ、文字と絵の配置、縦書き横書き、変えてみたがわからず。
あるとき、ふと気づきました。
利用者さんが黙って考えているときと、選択肢の文字を読もうとされているときがある。
黙って考えているときは、「これや」と指す。
音読しているときは音韻性錯読、語性錯読が頻発してうまく読めず、「あかんわ」
ようやく、ふりがなの有無が影響している可能性に思い当たりました。
ふりがながあるとそれを読まねばならない状態になる。
うまく読めずに何度も読み直す。
選択することに意識が向かなくなってしまう。
結果、混乱し、どうしてよいかわからなくなる。
全ての課題でふりがなを消すと正答率がグッと上がりました。
学生時代の実習で見学させていただいた患者さんを思い出しました。
SLTAの「書字命令に従う」の文字を音読して、誤り、誤りに気づいて修正を繰り返し、物品にさわる前に時間切れ。
担当していた他の実習生は「読まなくてもいいですよ」と声をかけましたが、患者さんさ読むことをやめられなかった。
伝導失語と診断されていた患者さんでした。
ふりがなが音読の助けになり、音読が理解の助けになる場合もあれば、反対に邪魔になる場合もある。
刺激の量や種類への細やかな配慮を忘れないようにしないといけないなあと思いました。