人材開発室のいとうです。
良い文章を考えるのに最適な三つ場面、「三上」とは…

「余、平生作る所の文章、多くは三上に在り。 乃(すなは)ち馬上・枕上(ちんじゃう)・厠上(しじゃう)なり」
文章を考えるのに最も都合がよいという三つの場面
中国の北宋時代の学者、欧陽脩が残した言葉。
"三上"を現代に置き換えてみると…
◉馬上(電車やバイク等の乗り物に乗っているとき)
◉枕上(ベッドや布団の中)
◉厠上(トイレの中)
自分のことを思い返すと…
まさにこの"三上"がいろいろと思いつくゴールデンタイム!です。
思い当たるフシがたくさんありました。
例えば…
通勤や事業所間を移動中の電車の中で。
1時間近いバイク通勤中で。
寝る前の布団の中で。
仕事の合間や家で過ごすときのトイレの中で。
他には…
職場の誰かとそのことについて対話している中でも。

本を読みながらでも。
ボサッと、本屋さんで本の題名や表紙、目次を見ているときも。
タイムを気にせずにゆっくりランニングしながら。
子どもと遊びながらでも。
「これとアレをつなげてみたら…」
「これとアレはこういうことかな…」
「この考え方はあの人の考え方と同じかな…」
「これはこんな仕掛けになってたんやな、アレに使えるかもな…」
「この本、新しいモンかな…」
何かしら、アレやコレやと思いつく。
そのゴールデンタイムのうちに。
その場で。
LINEメモに書き置いたり。
Google検索した記事URLや画像をLINEメモに転送したり。
ふとモノゴトのつながりを見つけたとき等、何か思いついたことをこうしてブログに書き起こしたり。
さらに…時間を作って。
会議中やオンライン・ダイアログの時には。
何でも図解。
文章から図解する。
図にすると頭の中が整理される。
自分以外の方々との打ち合わせにも活かせる。
抽象化思考。

図を通すと深まる思考。
思考を見える化してくれる。
図を描くことは「現実を抽象化」すること。
現象の中から骨格を切り出し、現象の裏側にある構造を捉えること。
図を描く作業は手で考える作業であり、自分自身との対話。
人類史上の文明の発展や革命に大きな役割を担ったのは文字。
象形文字等、その文字の起源は見たものを抽象化した図にあるそうです。
図はきれいに上手く書ける必要はない。
パワーポイントばかりはダメ。作業に集中してしまい思考が中断してしまう。
人の思考。
その時に働く下記の三つの代表的な脳内ネットワークがあり、それぞれに役割が違います。
◉DMN(デフォルト・モード・ネットワーク:直観)
→アイディアが生まれる時に活性化
→一人でボーッとしている時に入れる
◉SN(セイリエンス・ネットワーク:大局観)
→たくさんできたアイディアをいつくかに絞り込む
→直観と論理を行ったり来たり、マクロからミクロまでを行ったり来たり、具体と抽象を行ったり来たり、それらの高速往復⇆運動
◉CEN(セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク:論理)
→絞られたアイディアを精査して1つに決める
→みんなで議論すれば自然と入れる
イノベーティブな人はこの三つのモードをうまく切り替えていることがわかっています。
参考)
「脳科学で創造性の高い人を予測できるのか?〜クリエイティビティと二ユーロサイエンス〜
右脳か左脳か論ではなく「脳全体の複合的」利用が肝で、複数の脳ネットワークが絡み合っている
クリエイティブな人は(趣味や経歴などで)複数ネットワークを同時使用することに慣れている
クリエイティブな人は(趣味や経歴などで)複数ネットワークを同時使用することに慣れている
▼詳細はこちら↓
クリエイティビティー(創造性)を刺激して、課題そのものや、その解決のアイディアをロジカル(論理的)に創造するための思考法である"デザインアート思考"ともつながりがありそうです。
デザインアート思考では、有り合わせのもので"ブリコラージュ(器用仕事)"することを勧めています。
その場にある有り合わせの素材でごく簡単な試作品を作るということです。
訪問看護リハの場面でも即時的に必要な対応を求められる場面があるかと思います。
そこで必要なチカラがブリコラージュ力ではないでしょうか。
在宅生活で出てきた生活課題を、福祉用具や自助具で課題解決を図る場面でも思い起こされます。
アイディアをその場でブリコラージュして有効性を検証するトライアルを繰り返すことが欠かせないのではないでしょうか。
編集思考。
編集とは、素材の選び方、つなげ方、届け方を変えることによって価値を高める手法。
素材の「選び方」「つなげ方」「届け方」を変えるという"編集する"ことで価値を飛躍的に高められるという編集思考。
編集思考の4つのステップ
「セレクト(選ぶ)」
「コネクト(つなげる)」
「プロモート(届ける)」
「エンゲージ(深める)」
異質なモノをかけ合わせて、新しい価値あるモノをつくること。
わたしたちの仕事でも活かせそうな思考です。
最近では、会議や研修の中身を図や文字で表現するグラフィック・レコーディングや図や文字を用いながら、その場での意見や提案をしやすくし、より良い場づくりを促すグラフィック・ファシリテーションも散見されます。
さらに一歩も二歩も進んだ思考、コミュニケーション観というかファシリテーションの形と思われるスクライビング。
モノゴトに隠れされた思考やオモテに"出たがっている"思いや未来を描き出すことで、それらを溢れ出させるような、より踏み込んだ関わり方ができるではないでしょうか。
最後は外山滋比古さんの一冊です。
「知識に甘えない」
「知識は死んだものと考える」
「創造的忘却」
「愛読書はつくらない」
「本は買って読む」
「乱読する」
「影響を受けすぎない」
「書籍に思考を奪われない」
「おしゃべりで賢くなる」
「借りものの知恵に頼りすぎない」
などなど…
これらの本からエエとこ採りした自分なりの思考法は、仕事での課題解決にも大いに役立ちます。
仕事と生活、遊び、人間関係、心身を高速で行ったり来たりをしながら過ごし続ければ「フルライフfull life」になりそうです。
下図は昨年からのオンラインの各取り組みから。
利用者様との関わりや支援でも活用できると思います。
When one person teaches.
Two person learn.
"独りが教えると、両方学ぶ"
教える人が学ぶ姿勢を見せ続けることで一緒に変われる。
教える側が学ぶという関係性へ。
"よき臨床から、よき教育と研究が生まれる"
"よき研究から、よき臨床や教育も生まれる"