ともに行う訪問介護事業所の介護福祉士・作業療法士・調理師いとうです。
身体介護の見守り的援助"共に行なう家事"です。
▼リハビリテーション・ケア研究大会2019金沢
での報告はこちら↓
右手首骨折による手指の拘縮と古い既往歴として頭部外傷による記憶障害などの高次脳機能障害も残存されています。
3月のマンスリー報告です。
理学療法士による訪問リハビリテーションを継続し、圧迫骨折による腰痛の改善傾向が続いています。
ここ最近は食欲旺盛で少し太り気味でしたが、間食の購入を我慢して食事量の調整と、リハでの運動メニューをこなすと腹囲も体重も減少に転じてきます。
第一週目。
「あれば使ってくれると思って買っちゃったよゥ」
と、利用者様。
葉野菜の買い置きが冷蔵庫内にたくさんあり、悪しの早い野菜を先に選んで…鶏卵も多めにあったので…
親子丼。


青梗菜炒め。

第二週目。
葉野菜の先週からの買い置きがまだまだ残っているので、はりはり鍋と水菜サラダに。




青梗菜とウインナーのオイスターソース炒め


「前からたまにやるんだよねェ」
と、利用者様。
こんなことも自らされていたのを初めて知りました。
第三週目。
「食べたかっただよねェ」
と、買い置きされていたニラ。
ニラ玉炒め。
すり下ろしたにんにく入りの白菜と鶏のしょうゆ鍋。
第四週目。
冷蔵庫を開けると新鮮なほうれん草を買い置きされていました。
土が付いていたので、しっかりと洗います。
ほうれん草の煮びたし。
ほうれん草とウインナーの炒めもの。
第五週目。
先週から買い置きされていたブロッコリーを電子レンジの使い方を確認しながら茹で野菜モードで茹でます。
「こんなふうに電子レンジを使うんだねェ」
と、感心顔の利用者様。
「刻み塩昆布とツナを入れるヤツね」
と、すっかり材料やレシピを覚えつつある利用者様でした。
すり下ろし生姜たっぷりの白菜の鶏鍋。
「アーこれね。旨いよねェ」
「楽しみだねェ〜」
と、今月も笑顔の利用者様でした。
食べ物などの物々交換や"ともに行う調理"で「今日は何を作ったよゥ」
と、"ともに行う調理"を介したお宅のお隣さんとのつながりも続いているようです。
このなかで、作ったメニューは何で、どんな材料と調味料を、どれくらい、どの順序で…作ったら、どんな味がして、美味しかったよーという具合にやりとりしているそうです。
「これが思い出すリハビリになってるのよねェ」
と、しみじみ話す利用者様。
お隣の方との振り返りが記憶リハになっていることも自己気付きをされておられます。
頭部外傷による高次脳機能障がいを患って30数年、高次脳機能障がいと大阪府立急性期総合医療センターさんにて診断されたのが、10数年前の利用者様です。
高次脳機能障がいと20年近く分からずに過ごされたそうです。
高次脳機能障がいと診断されるまでの20年ほどの間は、生活場面や職場での様々なつらくて難しい場面があったそうです。
しかし、たまたま見かけた大阪府の高次脳機能障がい児者支援事業のパンフレットに記載されている各症状の特徴を見て、
「これオレじゃないか!」
と、ハッとしてすぐに受診されたそうです。
▼大阪府高次脳機能障がい相談支援センター
受傷当時は職場の方々と関係性がうまくいかずに感情をコントロールできないこともあったそうです。
10数年前の高次脳機能障害と診断された前後から、感情がコントロールできない時に黙り込んでしまう症状がなくなっていたそうです。
今では感情コントロールできないことは少なくなってきているようです。
「これまでたくさんのいい人たちに助けられたらこうして良くなるんだねェ」
と、常に前向きな利用者様でした。
訪問リハ、訪問介護による自立生活支援に関わらせていただき3年以上経過した今になって、過去の高次脳機能障がいの症状が深刻だったこと、そして大きな改善があったことにあらためて気付かされました。
作業療法士による訪問リハビリテーションも継続していますが右手指拘縮の残存があります。
包丁使用は大きな問題なく行なえています。
さらに他の訪問介護事業所との連携を図り、入浴動作や洗濯物干し動作等の安全性確保、転倒予防の生活機能向上連携の取り組みを継続しています。
月に三万円以上だった宅配弁当代は、今は月1万円弱と食費の節約にもなっています。
ともに行う訪問介護事業所は、なめだリハビリテーションクリニックの訪問リハビリテーションや他訪問介護事業所と連携し、身体介護による見守り的援助"ともに行う"で利用者様の重度化予防、QOL向上、自立生活支援をサポートします。