こんにちは。アクティブ大正の理学療法士の飛永です。先日、大正事業所にて実施した研修会プレゼントについてご報告します。
最近、医療介護分野全般で、質の向上が求められている【自立支援】に関して、スタッフ間で共有したり、すぐに活かせる知識やスキルはないだろうかと考え、このテーマとしました。
テーマ
↓
自立を支援するコミュニケーション
〜「I」メッセージとバイタリティのサイクル〜
根拠や効果のあるコミュニケーションということでお話ししていきますが、大前提として次の2つは、誤解のないようにお伝えできればと思います。
1つ目は、今回はコミュニケーションに関してまとめていますが、リハビリテーションを提供する上では、専門職として必要なアセスメントが必ず基盤となっており、その枠組みを超えることはないということ
二つ目は、今回お話しするコミュニケーションスキルは、伝え方に関することが中心です。しかし、それは一方的に伝えるだけのスキルではなく、また無理にご利用者様を誘導するような使い方をするものでも絶対にありませんし、そうであってはならないと思います。
あくまで良好な信頼関係を築くため、またそれによりご利用者様のADL、IADLの向上、およびリハビリテーションにおける目標達成を一緒に目指すために必要なコミュニケーションと捉えて頂ければ幸いです。
第1章では、
「you」メッセージではなく、「I」メッセージがより自立の支援に影響するというお話ですが、
皆さんは、運動や活動に関して拒否の強い方に対して、どのようにコミュケーションをとりますか?
私ごとで恐縮ですが、新人である1〜2年目の時を思い返すと私自身、このような状況で運動の必要性やそれに対して説得をするようなことも出来てなかったように記憶しています。その後3〜5年目くらいになると、少し変化がありました。療法士として自分の実力を過信していたのだと今は思いますが、コミュニケーションの際に、お相手の方に対して、強く想いを伝えられるようになりました。しかし、その時は気付きませんでしたが、コミュニケーションが手段ではなく目的になっていたのでしょう。つまり、本来であれば目的があってそのためにコミュニケーションという手段を取るべきですが、【説得や強く伝える】ということが正しいという誤った理解で、それが目的となっていました。本当にお恥ずかしい話です。そして、それを解決する一つの手段が、今回の自立を支援するためのコミュニケーションとなります。
では、まず「you」メッセージとはどういうものか
このように主語が「you」、つまりリハビリテーションにおけるコミュニケーションの中では、ご利用者様に当たります。
評価や指示が中心のメッセージですが、これではお相手の方に反発心がうまれたり、答えもyesかnoの2パターンしかなく、創造性や自主性につながることもありません。
さきほどの私自身の話で、【説得や強く伝える】という方法はこれと等しいものだと思います。
それでは次に「I」メッセージですが、
主語が「I」、つまり私たち自身のことです。
このように「I」メッセージとは分類すると、次の4つになります。
@背景、意図、ビジョン
A具体的事実、行動
B具体的影響
C偽らざる気持ち
どうですか?皆さん!
こうやって分類してしまうとすごく機械的に感じちゃいますよね。
たしかに私もそう思いますが、大事なことは、主語を「相手」ではなく「自分」にして、その【自分の気持ち】を伝えるということです。
よって、@〜C全てを伝えることが会話の流れで難しいのであれば、AとCや、BとC、またCの偽らざる気持ちだけでも良いかと思います。「嬉しい!」「楽しい!」「悲しい!」「残念に思います!」「自分は〇〇だと思います!」などなど。
このような「I」メッセージという言葉を初めて聞く方は、イメージがしにくいかもしれませんが、親子や兄弟、友人、彼氏彼女、上司部下、先輩後輩、同僚など身近な人で想像してみて下さい。
「あの人の〇〇という言葉は、今思えばIメッセージで、それによって自分で頑張ってみようと思えたな〜」ということが一つは思い出せるのではないでしょうか。
反対に「あの人のyouメッセージには反発したな〜」ということもあるかもしれませんね。笑
こうやって人と人とがコミュニケーショをとる際には、関係性によらずとも「you」メッセージや「I」メッセージが使われてる場面が多く存在します。
さて、ここまでは自立を支援するためのきっかけとなるコミュニケーション、伝え方という点に関しての説明でした。
ここからは、上記のような「I」メッセージを伝えたお相手、または反対に自分が「I」メッセージを伝えられた側とした時にも、どのように自立への気持ちの変化が起きるか、についてです。
自立という言葉を
バイタリティ(いきいきさ)のサイクルという別の言い方で説明していきます。
(参考文献は、最後に記載しておきます。)
簡単に言うと、「I」メッセージによりこのバイタリティのサイクルが回り出し、より自立した行動を起こせるということです。
ここでもう一つ大事なポイントは、スライドにも載せていますが、何か行動を起こす時に次の3つの要素に個人がどれぐらい関与しているかという点です。関与が大きいほどサイクルが回ります。
その3つの要素とは、【自発的意図】【作戦】【決断】です。
例えば、運動や活動に関して拒否の強い方のバイタリティのサイクルが、何かのきっかけで上手く回るようになったことを想定するとこのようになります。
自分で考え【自発的意図】、自分で計画を立て【作戦】、自分で決める【決断】
それにより起こした行動は次のような結果となります。
成功しても失敗しても次につながります。
反対に、全てを他者が考えて、他者が計画を立てて、他者が決めた行動では、バイタリティのサイクルは回りません。
事業所内の研修では、実例も含めて説明しましたが、個人情報の兼ね合いもあるため、割愛させていただきます。ご容赦ください。
まとめると、
目的に合わせた「I」メッセージを伝えることで、お相手のバイタリティのサイクルが回りやすくなるということ。
そして、そのバイタリティのサイクルを回し続けるためには、自発的意図、作戦、決断という3つの要素に関与して頂くということ。
皆さんも日頃のサービス中や、プライベートでも結構です。一度、意識して使ってみましょう。きっと上手くいかなかったことで、前進するはずです。
こんなちょっとした伝え方の違いじゃ何も変わらんよ!と思う方もおられるかもしれませんが、それがご利用者様のためであり、目的が明確であれば私はすぐにでもするべきだと思いますし、しない理由が見つかりません。
長くなりましたが、最後までお読み頂きありがとうございます。皆さんのサービスの質の向上、またはそれぞれご自身の生活をいきいきと生きるための一助となれれば幸いです。
最後に
次のことを忘れてはなりません。ご利用者様やご家族様、そして関係職種の方々からの温かいお言葉、また時には心のこもった厳しいご意見があって、私たちのバイタリティのサイクルを回して頂いてるということを。
アクティブ大正 飛永
参考文献
リハスタッフのためのコーチング活用ガイド
2010年9月20日 出江紳一氏
ほめない子育てで子どもは伸びる
2010年11月14日 岸 秀光氏