2022年12月22日

とろけるゼリー ピーチ&マスカット味


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大根もちを作りました。

つなぎは片栗粉と小麦粉を半々に。

甘辛もちもちでおいしくできました。

 ST水野です。



先日訪問先で「これはレアなやつ!」とひとりで興奮してしまったのがこれ。

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嚥下練習のため利用者さん宅で用意してくださったゼリーが中部以東でしか売られていないはずのピーチ&マスカット味だったからです。

1年前この記事(http://active-nopsj.sblo.jp/s/article/189205689.html)で書いた、嚥下練習に最適な「とろけるゼリー」の別の味。



どこで買ったんですか?とたずねましたが、買われたご家族が不在でわかりませんでした。


中部や関東資本のスーパーが関西にも進出してきているので、場所によっては手に入るのかもしれませんね。


スーパーでゼリーコーナーをチェックするようにしていますが、私の行動範囲内ではまだ見かけたことはありません。


マスカット味おいしかったようで、いつもは3口程度の利用者さんが5口召し上がりました。

選択肢が増えるのはうれしいですね。

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2022年11月29日

読解課題の反応が浮動的な理由

帰り支度をしていると、利用者さんに「あんたよー、いっぺんこれ取ってくれ」と言われ、見るとマスクを外すジェスチャーをされました。マスクを外すと利用者さんはあからさまにがっかりした顔。




想像していた美人さんではなかったんですね

素直な反応すぎて、笑ってしまいました。

マスク生活も長くなりましたね。

ST水野です。



前回書いた続きです。


http://active-nopsj.sblo.jp/s/article/189826147.html


失語症に注意障害や失行などを合併している利用者さん。


前回聴理解に比べ読解が浮動的と書きました。

宿題を出すために読解課題を少しずつ進めています。


名詞絵1枚に対し文字単語の選択肢が2つ。

正しい方を選んで線で結ぶ、あるいは丸をつけるシンプルな課題です。


やっていただくと、できるときとできないときがある。

その差が大きい。


本来の理解力が発揮できれば、問題なくできるはずの課題なのに。


できないときは「わからへんな」と止まってしまう。

問題の解き方がわからない、どうしていいかわからない様子で、たんなる誤答とは異なるように見えました。


何が影響しているか。

1問ずつの提示、絵や字の大きさ、文字と絵の配置、縦書き横書き、変えてみたがわからず。


あるとき、ふと気づきました。

利用者さんが黙って考えているときと、選択肢の文字を読もうとされているときがある。


黙って考えているときは、「これや」と指す。

音読しているときは音韻性錯読、語性錯読が頻発してうまく読めず、「あかんわ」


ようやく、ふりがなの有無が影響している可能性に思い当たりました。


ふりがながあるとそれを読まねばならない状態になる。

うまく読めずに何度も読み直す。

選択することに意識が向かなくなってしまう。

結果、混乱し、どうしてよいかわからなくなる。


全ての課題でふりがなを消すと正答率がグッと上がりました。



学生時代の実習で見学させていただいた患者さんを思い出しました。

SLTAの「書字命令に従う」の文字を音読して、誤り、誤りに気づいて修正を繰り返し、物品にさわる前に時間切れ。


担当していた他の実習生は「読まなくてもいいですよ」と声をかけましたが、患者さんさ読むことをやめられなかった。


伝導失語と診断されていた患者さんでした。


ふりがなが音読の助けになり、音読が理解の助けになる場合もあれば、反対に邪魔になる場合もある。

刺激の量や種類への細やかな配慮を忘れないようにしないといけないなあと思いました。

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2021年10月14日

STの基盤

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利用者さんと外を歩いていて見かけた、ご近所さんの庭先のゴージャスなお花。
「たぶん、ふようだと思うよ」と利用者さん。
調べると、大正解。
「芙蓉」でした。
ST水野です。


約20年前、私がSTの卵だったころの話です。

臨床実習で出会った失語症の患者さん。
自分の担当ではなく、バイザーの先生が実習中に私が失語症の方との関わりが少なかったことを気にかけて、実習最後に話す機会を設けてくださいました。

運動性失語症があり、半分以上が白髪の男性。
ことばはほんの少し出る程度、こちらの質問に対してよく反応してくださり、男性の表情・うなずきや・首を傾げたりする様子から意思を読み取ろうとしていました。

どういう流れだったかは覚えていませんが、男性のご家族の話題になりました。
男性は何かをいっしょうけんめいに訴えました。
ことばにならない声が男性の口から出ていました。
質問への反応でわかったのは「息子さんがいること」。

紙に息子と書き、その紙と鉛筆を男性に渡すと、男性は息子の隣に「6」を書きました。
「6…6歳ですか?」男性はうなずきました。
「息子さん、6歳なんですか?」男性はうなずきます。
「息子さんですよね?お孫さんではなくて」男性はまたうなずきました。

それからも男性の訴えは続きました。
息子さんのことを伝えたかったようです。
文字で選択肢を示しますが、首をふられ続けました。
私は言いました。「ごめんなさい、ちょっとわからないですね」

男性とのやりとりを見ていたバイザーの先生から後ほどフィードバックをいただきました。

「文字を示したり、書いていただくよう促したりしたのはよかったと思います。でも、簡単に『わかりません』とあきらめてしまいましたね。もっと他の方法を探って、できる限りの努力をしてほしかった」

バイザーの先生はコミュニケーションノートを使う方法など助言してくださいました。

利用者さんの伝えたいことを理解するために最大限の努力をすること。
このとき学んだことが、私のSTとしての姿勢の基盤です。

できることを尽くして「そういうことですね。わかって、よかった」までたどり着けたら、安堵します。

どうしてもわからないときでも
「ここまではわかりましたよ、がんばりましたね」
「伝えようとしてくださって、うれしかったです」
というメッセージは必ず伝えるようにしています。

利用者さんに思ってもらえたらうれいしいこと。
「この人と話したい」
「この人ならわかってもらえそう」
「この人は自分をわかろうとしてくれているな」

以前も書いたことがありますが、大事にしたいのは「利用者さんが話したい気持ちを持ち続ける」こと。
話せるようになっても、伝えたいことがなかったり、話したい相手がいなかったりしたら、何にもなりません。

今回でST水野(松原)の日記、150記事です。
お読みくださり、ありがとうございました。
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2021年09月29日

病気が奪っていったもの

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テレビで見たおいしそうなタコスに影響されて、家でタコスパーティーをしました。
ひき肉とミックスビーンズをトマト缶で煮込んだもの、レタス、チーズ、アボカドを乗せて。
業務スーパーで買った生地はパリパリ系でした。
ST水野です。


ある失語症のAさんのご家族とお話をして知りました。

Aさんは工場を自営、ご家族といっしょに働いていました。
脱サラをして始め、20年以上続いた工場です。

Aさんは病気を発症し、長期入院。
仕事ができなくなりました。
ご家族は人を雇って、どうにか工場を続けました。
Aさんは退院してきましたが、車いす生活で工場に行くことはできません。
Aさんの面倒を他の家族がみていましたが、その方が仕事に就くことになり、Aさんを昼間みる人がいなくなりました。
ついに工場は閉めてしまったそうです。
利用者さんは病気にならなければ、まだまだ続けるつもりでいたようでした。
工場について語るときのAさんはエネルギーにあふれていて、仕事に誇りを持っていらしたのだなと感じました。


他のある失語症のBさんのご家族からもうかがいました。

Bさんは仕事をそろそろ引退し、これからは自由な時間を楽しもうと準備していました。

実家の農園、畑を引き継ぎました。
夫婦で果樹を育てたり、畑で野菜を作ったりしたいなあ。
そこでできた果物や野菜を子どもたちに送ってやれたらいいなあ。
そんな風に老後の生活をイメージしていたようです。

そんな矢先にBさんは病気を発症。
障害を負い、ご家族はその介護が中心の生活になってしまいました。

農園や畑には草が生い茂り、管理することも難しくなってしまいました。
Bさんが運転していた車を手放したので、様子を見に行くことも簡単にはできません。
Bさんもですが、ご家族がとても残念そうにされていたのが印象的でした。


病気で失ったものは、身体の機能や言語だけではありません。
人生をかけて行ってきた仕事、老後の楽しみ、ご家族の自由な生活まで奪っていきました。

失ったものの大きさに触れると、「しゃべれるようになる」ことを目標に練習をしていていいのか疑心がどんどん大きくなっていきます。

利用者さんやご家族が、新たな何かを見つけられないか、その手助けが何かできないかと思うのです。
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2021年08月18日

手紙でのやりとりで


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ベランダであれだけうるさく鳴いていた蝉の声が一気に弱まりました。

季節の移り変わりがはやいですね。

ST水野です。


ある難病の利用者さん。

暑さが苦手で、夏になると食べられなくなり、体重が減ってしまいます。

例年、夏が過ぎれば食欲が回復、体重も増えることが多いのですが、昨年の夏に減った2sが戻る前にまた夏が来てしまいました。


最近は病状が進んできたこともあり、食事に1時間以上かかり、後半はご家族の介助が必要。

ご本人いわく、

「食べる気持ちはあるけど疲れる」

「時間がかかるとだんだんお腹がいっぱいになってしまう気がする」

とのこと。


食事に限らず、他のADLもどうにか自分でできるものの、動きが止まってしまったり、とても時間がかかったりします。

介助をされる高齢のご家族の負担も少しずつ少しずつ増えてきました。


ケアマネージャーに報告。

受診時、主治医に手紙を持参していただくことにしました。


毎月の報告書では伝わりにくい、日々の生活の詳細、薬の効き方などをご本人・ご家族から聞き取って書き、家で過ごされている姿勢の写真もつけました。



受診時、主治医が薬量を変更し、エンシュア(総合栄養剤)を処方してくださいました。


エンシュアは1日1本の処方ですが、必ず飲むのではなく、食事が摂れなかったときに栄養を補助する形でよいとの指示。



利用者さんは以前にもエンシュアを飲んでいた期間があり、抵抗なく、飲み始められたようでした。



飲み始めて、数週間後の訪問日、エンシュアは飲めていますかとたずねると、首をふる利用者さん。


「エンシュア飲んでないんですか?」


「げり」


「飲むとお腹を下します?」


「いつもじゃないけど、ゆるくなる」


「そうなんですね。確かお通じの薬、飲まれていましたよね?」


「うん、のんでる」


トイレ!と思ってもすぐにトイレに行くことが難しい利用者さん。

お腹がゆるくなることが不安なのはよくわかります。



薬については、次の受診予定までまだ日があったので、訪問している看護師(他の訪問看護ステーションから)に相談の手紙を残しました。



翌週、訪問すると、看護師さんからお返事がありました。


薬は一包化されていて、便の薬だけスキップすることは現状難しいです。次の受診でその薬だけ別にしてもらうようにお願いするつもりです。


お礼の返事を書き残しました。




主治医や他の事業所の方とのやりとりは緊急の要件を除き、連絡ノートや手紙が中心です。



今度病院に行ったら、先生に相談してみてくださいねと利用者さんに言うだけでは不十分なこと、多いですよね。

受診時伝えようと思っていたのにああ先生に言えなかったという経験は自分にもあります。



長雨で気温が下がり、過ごしやすくなり、利用者さんの食欲は回復しつつあるようです。

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2021年07月28日

横書き 縦書き


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アボカドの種から、次々と発根、発芽しました。
寒い時期から、半年近く、水に浸けていたものが、ここにきてようやくです。
何事も適した時期がありますね。
ST水野です。

ある失語症の利用者さんは、言語以外も注意・記憶・視覚とさまざまな面に難しさが見られます。

失語症へのアプローチが中心ですが、複数の高次脳機能障害の影響がからみ合い、言語のねらった部分にうまく届いていないように感じ、悩んできました。

この利用者さんの場合、特に視覚。
どれくらい保たれていて、どのように見えづらいのか、失語症のため、眼科でも正確な検査ができず、日常生活を観察しつつ、言語課題を通して、見極めているところです。

日常生活で最も影響が出るのが、食事。
右側に配膳された皿に気づきにくいので、ご家族が声をかけて促しているとのことです。

練習場面では、絵や字を見るときに、目を細めたり、左手で目をこするような仕草をされたりすることがあります。
明らかに能力的に可能な課題が急に難しくなったり、しばらく悩んだ問題で絵カードの位置を入れ替えると即答されたりする様子も。

ただ、一貫して、右側に注意が向きづらいわけでもない。
見えていないからか、理解できていないからか、判断しづらい…。

縦書きの文字カードを用いてみました。
いつもより反応速度が上がり、自信をもって、選択されているようでした。
それまで横書きで難しかった課題を縦書きに変えると、正答率が安定。


宿題で出していた読解課題。
絵は、いらすとやさん https://www.irasutoya.com/、wordで作っています。
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大幅に変更しました。
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・書式全体を縦書きに
・設問数を減らし、動作絵・文字をサイズアップ
・選択肢を枠で囲む
・用紙を半分に折って、設問を独立して見られるように


まだはっきりとはわかりませんが、この変更で視覚の影響をおよそ除外できるのではないかと踏んでいます。

工夫をして、利用者さんの反応を見て、また細かな変更を加える。
自作しているから、できることですね。
課題が利用者さんにぴたっとはまると、よしっとガッツポーズが出ます。

アボカドは大きな葉をつけました。
通常はここまで育てば土に植え付けています。
今回はこのまま水栽培でいってみようかなと思っています。
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2021年07月14日

目に光が灯るとき

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台湾産のパイナップル、今季3個目にしてとっても甘いものに巡り会えました。
芯まで食べられるのはいいですよね。
台湾には行けないので、せめて気分だけはと積極的に購入しています。
ST水野です。



失語症の利用者さん、練習を始めて、半年ほどになります。

身体を動かして(身体リズム運動をつけて)、母音を出し分けたり、イントネーションを変化させたりする練習やとなえうた練習を続けてきました。

練習をしていくなかで、やりにくいと感じている点がありました。

私のことばを最後まで聞いて、利用者さんにマネして言ってほしいのですが、待てずに私と同時に言ってしまったり、かぶせて言ってしまったりすることがたびたび。



なぜ、待つことが難しいのか。

せっかちな性格だから、つられて反射的にことばが出てしまうから、言われたことばを忘れるのが怖くて焦るから、理由はいくつか考えられます。

私のことばと利用者さんのことばが重なってしまい、私のことばを正確に聞くことができず、利用者さん自身のことばの誤りに気づきにくくなってしまいます。



このところ、練習の進度が少し停滞気味に感じたので、自然にまかせるのはやめて、少し状況を変えてみようと思い立ちました。

となえうたの練習中に利用者さんに手のひらを向けて注意をひき言ってみました。
「言わないで。まず聴いてください」

利用者さんは動かそうとしていた手を下ろしました。
そして、少しうつむいて目を閉じました。
真剣に聴き入っている様子です。

3回4回と聴き続けるうち、利用者さんの口がわずかに動きつぶやき始めます。

しばらくするとハッとした表情で顔を上げ、うなずきました。
目が輝き、光が灯ったようでした。

ことばにはなりませんでしたが利用者さんの様子が「今わかったで!!」と語っていました。


その後、マネをしてとなえていただくと、音が正確でした。

やはり、今まできちんと聴けていなかったのだ。

聴くことに集中する時間を設けるようになり、変わりました。
この半年間、単独で出せずにいた「え」の音が正しく出せ、他にも苦手としていた、いくつかのフレーズが楽に出せるように。


つっかえていたものがポンと外れて、一気に流れ出した感覚です。

利用者さんの自然な反応をできるだけ生かしたいと考え、聴く姿勢に対してアプローチしてこなかったことを反省しました。


どのような練習でも同様ですが、表立つわかりやすい反応(今回の場合なら「話す」)に意識がむきやすくなり、目に見えない反応(「聴く」)は置き去りにされがち。
立ち止まって、見直す機会が必要だなと思いました。

利用者さんの目に光が灯る瞬間に立ち会える、やっぱりいいですね。
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2021年05月12日

マスクで言語練習

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トマトに自家製のパクチーを乗せ、塩少々とオリーブオイルをかけたら、それなりの一品になりました。
パクチーが大好きです。
ST水野です。

大阪のコロナ感染は大変厳しい状態が続いています。
医療従事者ですがワクチン接種の予定はまだありません。
今週に入って、高齢の利用者さんから「ワクチン接種の予約ができたよ」と次々に聞き、少しホッとしています。


コロナ禍での生活も1年を過ぎ、すっかりマスクの習慣がつきました。

マスクをして言語練習をするときに困るのが、こちらの口型(口の形)を見せることができないことです。

失語症があり、特に発語失行や口腔顔面失行を含む場合、母音の口型を手がかりに練習することがあります。

対面してSTの口を示したり、隣に並んで鏡に写って利用者さんの口とSTの口を比較したりする方法です。

コロナ禍でマスクを外すことができなくなったため、この方法を用いることができなくなりました。

音のイメージを身体で表現したり、口型のイラストを使ったり、いろいろな方法を試してきました。

最近、試みているのは、動画を使う方法です。
やや大げさに口型を示して発声している動画を撮影し、利用者さんに見せます。

どんな導き方が有効かは利用者さんによって異なることがあるので、いくつかのパターンを録画しておいて、使い分けるようになりました。


例えば「う」の音を導きたいとき。
・くちびるをめいっぱいとがらせる
・とがらせて、フーと息を吹く
・口型を「い」→「う」へ変化させる
・口型を「あ」→「う」へ変化させる

フーと息を吹くのはマスクを外して鏡をくもらせると本来はわかりやすいです。
単独の口型ではわかりにくい方でも、他の口型から変化させることで認識できるようになる方もいます(音や口型の特徴が際立つからでしょうか)。

利用者さんの反応によって変化させる(微妙に変化の速度を変えるなど)は対応できませんが、それなりに役に立っています。

スマホの画面が小さくて、わかりにくそうにされる方もいらっしゃるので、タブレットも用いてみようと考えています。

安全対策をとりながら、工夫しつつ、試しつつ。
今の環境でできる範囲でやっていくしかありません。

他にこんな風にやっていますというアイデアがあったら、ぜひ教えてください。
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2021年04月16日

唾液の代わりに

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レモングラスが育ってきたので、収穫しました。
お湯を注ぐといい香りが立ちのぼります。
さっぱりとした口当たりのレモングラスティーです。


訪問している利用者さん、唾液分泌が少なくなるご病気を抱えておられます。

「口が乾いて食べづらい」が主訴で、嚥下能力そのものは比較的保たれていますが、唾液が少ないために食べられる食べ物の種類や食形態に制限があります。

また、極端に口が乾いてしまったときにはしゃべりづらくなり、乾いた口での発話はスピードがゆっくりで、やや不明瞭に感じます。唾液はしゃべるための潤滑油としての働きがあることがわかりますね。

唾液の量は日によって差があります。
今日はあまり出ていないかもという日でも、練習で唾液腺マッサージや舌を大きく出したり戻したりなどの運動を行うと、「少し出てきた!」と嚥下できる程度の量の唾液が出てくることもあります。

ご自分で料理するのが難しい利用者さんは、スーパーのお惣菜や市販の嚥下食を利用中。
お惣菜をそのまま食べようとすると、根気よい咀嚼と水分との交互嚥下が必要で、すぐに疲れて食べるのが嫌になってしまうため、食物をはさみで細かく刻み、とろみをかけて、食べやすくしています。

利用者さんにとっては、唾液の代わりが「とろみ」なのです。


訪問時、利用者さんが「ねえ、聞いて!」と報告してくださいました。

リハビリ目的で通っているデイサービスのおやつ時間。
他の利用者の方にはおまんじゅうやカステラ、ドーナツなどが出るのに、「利用者さんは食べやすい物じゃないとだめだよね」と毎回ゼリー、それが以前から残念だったとのこと。

「おまんじゅうやドーナツもとろみをつけたら食べられると思う。自分でとろみ剤を持ってくるから私もみんなと同じものが食べたい」とデイの職員さんに相談しました。

デイで検討してくださり、とろみ剤で作ったとろみをおまんじゅうなどにかけて食べることを何度か試してみた結果、問題なしと結論が出て、みなさんと同じものが食べられることになったそうです。
「デイでの楽しみがひとつ増えてよかったわ」とうれしそうに言われました。

「食べられるものが制限されても、やっぱりおいしいものしか食べたくないし、しんどい思いをして食べるのは嫌、誰だってそうでしょ?」
納得の利用者さんのモットーでした。
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2021年03月17日

2%濃度のとろみ

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利用者さん宅のミモザに惹かれて、苗を植えました。
花が咲くまで3年くらいかかるそうなので、枯らさないように大事にはぐくみたいと思います。
ST水野です。


嚥下評価にうかがいました。

水分やプリンなどの半固形物を摂取されており、飲み込みの評価、介助方法への助言などを行いました。

水分にはごくゆるいとろみがつけてありました。

ご家族に「どうやってとろみをつけていますか?」とたずねると、キッチンでいつもつけている方法を見せて下さいました。

コップに入れた飲料水にスティック状のとろみ剤をごく少量パラパラ。

「病院で2%の濃度のとろみと言われたんですけど、よくわからなくて…」

その説明ではちょっとわかりにくいですよね。
一度、量ってつけてみましょうか。

@計量カップで50cc(=50g)飲料水を量る
A必要なとろみ剤の量を計算(50g×2%=1g)
 →3g入りスティックのとろみ剤のおよそ1/3を使用すればよい
Bコップに先にとろみ剤を入れる
C計量カップから飲料水を一気に注ぐ
Dスプーンで混ぜる

一度に50cc飲みきれない場合は、冷蔵庫で保管しておけばその日のうちは大丈夫ですよ。

お家にある物品やとろみ剤に合わせた楽な方法をお伝えできれば、適切に実践していただける割合が増えると思います。
可能であれば、お伝えした方法が守られているか定期的に確認できるのが理想ですね。
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2020年08月28日

夏バテに負けるな!手軽にカロリーをアップする方法

夏らしいことをほとんどしないまま、夏が終わっていきます。
花火も夏祭りも中止、帰省もできず。
こんな夏は今年で終わりにしたいものです。
ST水野です。


ある利用者さんが言われました。
「あと3s太りたい。もっとたくさん食べられるようになりたいです」
お風呂に入るときに鏡で自分の体を見るとあまりに痩せていて驚いてしまうそうです。

この夏「夏バテで食欲が落ちて困っている」という相談を3件続けて受けました。

3名の利用者さんは年齢も疾患もバラバラですが、嚥下障害があり、もともと食べられる量が少なかったところへ暑さの影響で、より食べられなくなっている点が共通しています。

利用者さんはそろって「食事が疲れる」と訴えます。
スプーンを口に持っていくのに時間がかかってしんどいわ。食べているあいだにお腹がいっぱいになってしまうし。
食べることに疲れて、ごはんの時間が全く楽しくない。
食べろ、食べろとあんまり言われたらつらくなるよ。

食事をするにも体力が必要ですもんね。
そして、食べることに義務感を持ち始めたらしんどくなります。

みなさんに提案したのは「食べる量にこだわらず、効率よくカロリーを摂ることを考えましょう」ということ。

おひとりの利用者さんは朝バターをつけたトーストを食べるのが習慣だと聞き、そこにさらにジャムを加えることを提案しました。
「ちょっと足すだけね。これならできるかも」とおっしゃってくださいました。
ジャムをヨーグルトに加えてもいいですね。

コーヒーを1日2杯は飲む習慣がある利用者さんには、コーヒーに牛乳とお砂糖を足すことを提案しました。

カロリーアップできるのはわずかでも毎日の積み重ねが大事です。

地域で活動されている管理栄養士さんと訪問同席する機会があり、「MCTオイル」などの嚥下調整食を使うことの効果をあらためて教えていただきました。

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MCTオイルを他の利用者さんにも紹介しました。

MCTオイルのよさは、おかゆでも、おかずでも、飲み物でもただオイルを加えるだけの手軽さです。
消化吸収がよく、食形態も変える必要もなく、食べる量を増やさずに、カロリーをアップできます。
最近では日清のものなどが普通にスーパーに並んでいるのを目にするようになりました。
手に入りやすいのもポイントですね。

そして、この暑い時期、甘いものがお好きな方には、間食をアイスクリームに。
アイスクリームで特にオススメは「ハーゲンダッツ」です。
たんぱく質、脂肪の含有量が多く、量に対して大きいカロリーが摂取できます。
ただ値段は高いですけどね…。

食生活を大きく変えて、「もっと食べないと!」と量を増やそうとしても、なかなか続きません。
今、食べているものに少し工夫をするだけなら、無理がありません。

みなさんの視点を「食べる量を増やす」から「効率よく栄養をとる」に変えていけたらいいなあと思います。
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2020年07月31日

信頼してもらえるとき

Googleフォトが1年前の写真を見せてくれました。
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昨年の今頃は岐阜の実家に滞在していたようです。
母の五平餅がめっちゃ食べたくなりましたが、まだしばらく帰れそうにありません。
コロナめ!!
ST水野です。


7月はコロナが少し落ちついたように見えたせいか、(月末になってまた違ってきていますが)新規の利用者さんを立て続けに担当させていただきました。
さまざまな社会的背景やキャラクターの利用者さんやご家族と、どのようにして距離をつめて関係を作っていこうかあらためて考えて過ごしました。

「私たちが利用者さんやご家族から信頼してもらえるのはどんなときだろう」

いちばん、わかりやすいのは、利用者さんの状態がよくなって、ご自身やご家族がそれを感じたとき。
リハビリの効果を感じることができれば、「この人の言うことを信じてこれからもやってみよう」と思ってくださると思います。

しかし、リハビリをしてもよくなっていく方ばかりではありません。
進行していく病気であったり、原因が加齢であったりする場合、今の状態を維持していくことが精いっぱいで、改善を目指すことが難しい現実があります。

そういう場合でも信頼してもらえるきっかけってなんだろう。

最近の利用者さんとのいろいろを思い返してみて、気づいたこと。
利用者さんやご家族の「困りごと」を解決できるように動くことかも。

先日、利用者さんが「美人画のぬり絵のデザインを探している」と言われました。通われているデイサービスでの作品作りに必要なのだそうです。
スマホで検索した画像を見せて、これと決めていただき、印刷したものを翌週、お持ちしました。

ある利用者さんのご家族
「お母さんのデイサービスでの様子がわからへん。連絡ノートはあっても、ごはんを食べたのが8割とか10割とか、そんなことしか書いてない」
担当のケアマネージャーさんに報告し、デイサービスにもう少しご家族に様子がわかるように対応してほしいと伝えました。

今は定期訪問をしておらず、久しぶりに会った利用者さんに言われました。
「家にある伝の心のスイッチは使えているけど、病院のナースコールがうまく押せない。どうにかならない?」
病院のナースコールの状態を担当OTと見に行かせていただき、入力の運動方向を変えることを提案し、調整してもらいました。今のところ、うまく入力できているようです。

ひとつひとつはささいなことかもしれません。
でも、そのささいなことが、利用者さんやご家族の心の多くを占めている場合があります。

STの仕事の範疇を超えている自覚は……あります。
本来ならケアマネージャーさんの仕事の領域でしょうか。
でも、毎週会っているからこそ、タイムリーにひろえる「困りごと」があるんですよね。
その場で、自分で解決できることは少なく、この件はこの人に、この件はこの人にと、ふるい分けてふさわしい方にお願いすることしかできないことの方が多いですけど。

そういう解決が積み重なって、利用者さんやご家族が「この人になら話してもいいな」と本音を話してくださるようになったら、うれしいことです。

特にコミュニケーションに手間と時間がかかる利用者さんの場合、ゆっくり話を聞いて、解決にむけて動こうとしてくれる存在が一人でもいることは安心感につながるのではないかと思います。

社内の療法士や看護師を見ていても、利用者さんやご家族との距離感はそれぞれ。
困りごとに自然に手を差し伸べているスタッフをたくさん知っています。

利用者さんとの関係に迷うとき、この方に信頼してもらうにはどうしたらよいだろうと悩んだとき、まずは利用者さんの目の前にある小さなことに目を向けることから始めてみてもいいかもしれません。
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2020年06月22日

iPhoneのアクセシビリティをちょっとだけ紹介

雨音にエアコンや扇風機の音が加わると利用者さんの発話が聴き取れません。
近づかないと聴こえないのでソーシャルディスタンスを保つことができなくて困ります。
コロナ対策のために窓を開けて換気してくださっているからもあるんですけどね。

コロナの影響をあちこちで感じます。
ST水野です。


スマホが使いにくくなった、機種変更したら使えなくなったなどの相談を利用者さんからよく受けます。
iphoneのアクセシビリティについて調べたので覚え書きします。

アクセシビリティとは視覚、身体と動き、聴覚および学習上のニーズに配慮した機能、つまり、見る・聴く・運動が難しい方が使いやすいように操作方法などを変更できる機能のこと。


便利そうな機能を3つ書き残したいと思います。


設定
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アクセシビリティと進みます。
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1つめは、目が不自由な方に便利な機能です。
視覚サポートから「拡大鏡」を選びます。
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その名の通り、カメラを使って撮影したものを拡大することができます。
拡大鏡で本のページを撮りました。
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拡大していくと
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さらに拡大すると
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中間くらいでここまで大きくなりました。
iphoneが拡大鏡の代わりをしてくれます。
普通に写真を撮って、ピンチアウト(2本の指で拡げるように動かす)すれば拡大できますが、ピンチアウトは難しい動きなので、拡大鏡を使えばその動きができなくても大丈夫です。



2つめは、身体が不自由で目的とする画面の部分の細かなタップがうまくいかない場合に使える機能。
スマホの画面全体がひとつのスイッチとして働いてくれるようにできます。

身体および動作から「スイッチコントロール」を選びます。
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スイッチを選びます。
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新しいスイッチを追加を選びます。
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画面を選びます。
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フルスクリーンを選びます。
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項目を選択を選び、スイッチコントロールの画面に戻ります。
スイッチコントロールをオンにします。
このとき、アクセシビリティ→タッチ→AssistiveTouchがオンになっているとスイッチコントロールがオンにできないので、AssistiveTouchをオフにしておきます。
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画面のハイライト(スキャン)が始まります。
ホーム画面だとこのような感じ。
枠の大きさや色なども選択できます。
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選びたい項目が枠で囲われたときに、画面をタッチすると選択されます。
このときに枠内に触れる必要はなく、画面内であればどこでも反応してくれます

これが「画面全体がスイッチになる」という意味です。
指先で細かく触れなくてもいいので手を握った状態などで触れて操作ができますね。
スキャンは枠で囲むタイプと十字で絞り込んでいくタイプなども選べます。

もちろん、外部スイッチ(外付けスイッチ)をつなげば、ワンスイッチで操作もできます。
外部スイッチを直接つなぐことはできないので、あいだにスイッチインターフェイスを使用する必要があります。
「なんでもワイヤレス」「「できマウスS2。」などです。


できマウスS2。


また、iphoneのフロントカメラをスイッチとして使う方法もあります。
頭を左に動かしたときに1つのスイッチ、右に動かしたときに1つのスイッチと2つのスイッチとして使えるそうです。




3つめは、耳が不自由な方のための字幕機能です。
テレビ番組の見逃し放送などが楽しめる、「TVer」というアプリが一部番組で字幕対応を始めたので試してみました。

聴覚サポートから「標準字幕とバリアフリー字幕」を選びます。
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クローズドキャプション+SDHをオンにします。
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設定はこれだけです。

字幕対応の番組に字幕がつきました。
クローズアップ現代です。

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数番組ですがドラマにも対応しています。
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字幕は失語症など文字が理解の助けになる方にも使える機能ですね。


iphoneにはこれらの機能が全てが標準なところがすばらしい!!

スイッチコントロールのカメラでのスイッチは、20年前なら最先端な技術で大掛かりな装置を使わないとできませんでした。
今は標準装備されているところまで来ているから驚きです。

androidスマホの場合は設定→ユーザー補助から同じような設定変更ができます。
androidの場合は、メーカー(機種)によって対応が異なるのが少し大変そうではあります。

利用者さんに使ってみる機会がありましたら、また報告したいと思います。


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2020年06月05日

柿の種は食べられるのに

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ステイホーム期間にホットケーキミックスでスコーンを作りました。
さくさくおいしくできました。
忘れないうちにもう一度作りたいと思っていますが、ホットケーキミックスがなかなか手に入りませんね。
ST水野です。


ある難病の利用者さん。
病気が進行してきて、自然な笑い声はときどき出るものの、日常ではほとんど発話が聞かれない状態です。

意図的に声を出すことはわずかにできますが、のどを詰めたような力んだ声になってしまいます。
舌や口唇の動く範囲に制限があり、口唇を閉鎖したり、舌を口蓋(上あご)につけたりすることは十分にはできません。そのため発音はかなり不明瞭です。
意思疎通は問いかけへのうなずきや首ふり、具体的な表出は50音表の指さしを用いています。

ごはんは食べられていますかとたずねると、50音表で「飲み込むだけ」と伝えてくださいました。
食事の様子を見せていただくことにしました。

スプーンで介助してもらい、少しとろみのついたきざみ食を食べておられました。
咀嚼を必要としない食形態で咀嚼の動きは少なく、下顎が下がると口唇もいっしょに下がり、わずかに開口しながら送り込んでいる様子を見ると舌の上下・前後運動がありました。
そして、飲み込む瞬間は口唇閉鎖できている!

食べているときと話しているときの口唇や舌の動きがあまりに違うので驚きました。
運動範囲に制限があるという評価が間違っていたことに気づきました。運動範囲ではなく、別の問題のようです。

利用者さんは食事の他におやつを食べる習慣があると聞き、いつも食べているものを見せてもらうと、なんと!柿の種でした。
咀嚼が必要で、口のなかでばらばらになりまとまりにくいため、おやつのなかでもかなり食べにくい、難易度が高い形態といえます。

それらを食べる様子も見せていただくと、ポリポリといい音をさせながら咀嚼しキュウッと飲み込んでいました。
口腔内にも思ったほど、柿の種は残っていません。
送り込みの舌の動きもさほど悪くない。

食べた直後に、口唇や舌の運動を行ったり、発音をしたりしましたが、やはり舌は口蓋に届かず、口唇は相当に努力してようやく閉鎖できるかできないかの状態。閉鎖した状態を1秒維持することもできません。

食べているときはできるのになんでしょうかとご本人に確認してみると、「食べているときは考えずにやっているからわからへん」

なるほど。
無意識に行う食べる運動(利用者さんは食べることが運動だとは思っていない)と意識しないとできない発音での運動の差。
意識して行おうとするほど、力んでしまい、難しくなるのかもしれません。特に首のうしろや肩周辺に力が入ってあごがあがる姿勢になりがちで口唇や舌が使いづらそうです。

おそらく、もっと話せていたときは話すことも無意識だったはずが、話せなくなり話す機会も少なくなり、意識しないとできなくなってしまっているのではないかと考えました。

柿の種を口唇に触れさせながら、閉鎖をうながしてみました。
口唇を少しとがらせて、柿の種をはさむように口唇が閉鎖してきました。
感覚を使うとちょっとよさそうだな。

翌週、訪問したときは、ひき笑い(吸気しながら笑う)様子が強くあり、息を吐いて声を出すことがよりしづらくなっていました。

呼吸する、発声する、発音する、なんて複雑で難しいんだろう。

試行錯誤はまだまだ続いています。
ほんの短い発語であっても、利用者さんの口から聞けるようになることを目指していこうと思っています。
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2020年05月29日

スマホの音声入力で構音練習

家中の窓を開け放って、風が吹きぬけるのを感じるとき、いい季節だなと思います。

ST水野です。


ある難病の利用者さん。

数ヶ月前にガラケーからスマホに換えました。スマホにしてやってみたいことをうかがうと「写真を撮ることとLINEをすること」と言われました。


タップして写真を撮る操作はすぐにできていました。アウトカメラとインカメラの切り換えをするのが新しく覚えるべき点。
LINEはねらった場所から指先がずれてしまい、的確にさわって入力することが難しい様子でした。

音声入力を提案し、発音練習も兼ねて試してみることになりました。

何週間か挑戦してみた結果、難しいポイントが2つ。

@座った姿勢がくずれやすく、スマホを口元に近づけた状態を保てない

A発話スピードが速く、正確に入力できない


@の座った姿勢が保ちにくいのは普段の生活からもいえることです。


身体が横に倒れる

頭が下がってうつむいた姿勢になる

唾液が口腔内にたまる

唾液を飲まずに話そうとして不明瞭になる

流涎!


スマホを持っていると、より姿勢がくずれやすくなることがわかりました。

声量が低下しているため、口元からスマホを離すと、より正確に入力がしづらくなることもわかりました。

音声入力の感じをつかんでいただきたかったので、スマホは私が利用者さんの鼻先に固定して持ちました。

口元だと視線が下がってしまうので、少し高い鼻先くらいが入力された文字を確認するのにもちょうどいい高さです。

あとはいきなりマイクをオンにしないこと。

あらかじめ入力したいフレーズを考えていただき、文節ごとに区切ることを意識して練習します。


そして

顔上がりましたね。

唾液飲みましたね。

オン。


この流れにするとかなり正確性が上がりました。

利用者さんはスマホの画面を注視して、正確に入力できているかを確認しながら、かなり意識して話されるようになりました。
この練習のメリットは「自分の発話を客観的に見ることができる」点にあると思います。
利用者さんに最も意識していただきたい発話スピード(が明瞭に大きく影響していること)に意識がむきやくすなります。

実際にご友人から来たLINEに返信する練習もしました。


いちばん入力が難しかったのが「人名」です。


勝浦さん梶田さん

石田さん木田さん


のように音は近いがモーラ数(かなで数えられる文字数)が少ない苗字に誤入力されてしまいました。

私の耳ではそう聞こえなくはない程度の明瞭度なのですが、やはり一音ずつの正確性に欠けるため、音同士がくっついてつながって認識されてしまうのだと思います。

利用者さんが1人で入力をしてLINEできるようになるにはまだまだ工夫と練習が必要ですが、少しずつ進めていきたいです。

LINEでご友人らとの関係が深まることも同時に願っています。


パキラがいい感じに枝を伸ばしていました。

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アボカドも!
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2018年11月15日

介護する人へ感謝と労りを

稀勢の里、初日から4連敗、本日より休場。
…見守りたいです。
ST水野です。


利用者さんが初めてのショートステイから戻ってこられて、再開になった訪問時のこと。
利用者さん、眉間にしわをギューッと寄せて、話されました。
ショートステイ先の不満がたっぷりです。

「ナースコールを押してもなかなか来てくれへん」
「来てもゆっくり自分の話を聞いてくれへん」

「看護師さんたちかて忙しいんやから、しょうがないわ」そばで聞いていた奥様が言われました。

利用者さんが言われました。
「わかった。やっぱり家はいい。呼んだら、いつでも、何でもしてもらえる」

そりゃあ、奥様がつきっきりで介護されていますからね!私の心のなかだけのつぶやきです。


利用者さんは「いつでも何でもしてもらえる」状態が当たり前になっていました。
70代の利用者さんたちの世代は、病前から、お世話をする妻、お世話をされる夫の関係が長く続いてきていることがほとんどです。

夫が病気になったとき、それまでの関係のままで介護生活に突入すると、妻に介護してもらうことも当然になりがち。

利用者さんはショートステイ先で、自分の思い通りにいかなかった経験からようやく「いつでも何でも介護」が当然ではないことに気付いたのではないかと思います。

さしでがましいとは思いましたが、チャンスだと感じたので、少し橋渡しすることにしました。
「奥さんを労わらないといけないですね。奥さんに『ありがとう』言ってますか?」
私が言うと、利用者さんは照れくさそうな顔で言いました。
「世話になる。ありがとう」
奥様の顔を見て言わなかったのがちょっと残念でしたが…、まあよしとしましょう。

奥様は1日おきには病院に行っていたそうですが、少しゆっくりできたそうです。

もし奥様が倒れてしまうようなことになったら、利用者さんが家で生活することはできなくなります。
介護される人、介護する人、双方が安定していないと、療養生活は続きません。

もうショートステイには行きたくないというのが利用者さんの本音だと思うのですが、奥様が体と心を休めるために、定期的なショートステイは今後も必要。

長く在宅で療養生活を送るためには、介護をしてくれる人への感謝と労りは不可欠です。
そして、思っているだけではだめ、ことばで言わないと伝わりません。


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どんぐりツリー。
前回のブログ(http://active-nopsj.sblo.jp/article/184776186.html)の利用者さんが作られたそうです。
ステキですね!
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2018年10月26日

多職種での関わりで学ぶこと

以前に担当していた失語症の利用者さんからのメッセージを、スタッフから受け取りました。
「どんぐり!」
伝言してくれたスタッフは、「これでわかりますか?」と不安げでしたが、大丈夫、わかります。
今年もどんぐり採集しています。
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数種類のどんぐりをスタッフに託したいと思います。

http://active-nopsj.sblo.jp/article/181850445.html
このブログの後半に出てくる方のお話しです。
今年は何を作られるのでしょうか、報告が楽しみです。
ST水野です。


ある難病の利用者さん。
リハビリ開始時には、人工呼吸器を装着され、コミュニケーションは口型を読み取る方法と、伝の心を併用していました。

当面の意思疎通は可能と判断し、言語療法では、コミュニケーションをとりつつ、楽しみ程度の経口摂取を中心に行ってきました。

数か月後、一緒に担当している看護師さんより、指摘されました。
「通院時のコミュニケーションに困っているみたいよ」
「本人が短く言おうとせず、文で話すから、口が読み取りづらいね」
他の看護師さんからも
「停電で伝の心が使えなくなった場合に備えて、透明文字盤の練習もしておいた方がいいのではないんじゃない?」と助言いただきました。

STとの会話では、ベッドアップはしてもベッド上で大きく姿勢を変えることがなく、口型がだめでも伝の心が使える状態にあったので、意思疎通にさほど困ることはなかったのですが、看護師は更衣や通院前後の移乗など、姿勢が変わり伝の心が使えない状態が多いことがわかりました。

今まで担当してきたALSの利用者さんは、伝の心導入の前段階として、文字盤あるいは透明文字盤の練習をしてきていました。
この利用者さんの場合、介入時にすでに伝の心を使用されていたことで、その過程を飛ばしてしまう形になってしまっていたことに気が付きました。
そして、自分以外とのコミュニケーション場面を想定できていなかった!!と反省しました。

言語療法を、経口摂取とコミュニケーション練習の2本立てに変更。

ご本人には口型で伝えやすくするために、@短く簡潔に、Aゆっくりと、B結論が先、説明は後、を説明し、やりとりのなかでも注意を促しました。

透明文字盤の導入では、3タイプを試しました。
@50音順のB4サイズ
A50音順のA4サイズ
Bフリック式のB4サイズ

Bフリック式は行単位の場所を探すのに非常に時間がかかりました。
50音順の@Aタイプは、STとはどちらも使用できそうでした。
ご家族と使ってみていただいたところ、@B4とAA4を比較し、@B4の大きい方が読み取りしやすかったので、@B4を選択。
通院時の使用も想定していたので、可能であれば小さいサイズがいいと思っていましたが、使用時の確実性を優先しました。

コミュニケーションに使う時間が増えたので、今まで聞いたことがなかった病前のエピソード等を聞き、利用者さんがどんな方なのか、ようやくわかってきたように感じています。

「限られた時間のなかで、何に優先して関わるべきかの判断に迷う」
実際に多くあります。
自分の判断に頼らず、他職種の意見に耳を傾けることの大切さを感じたできごとでした。
多職種で関われるありがたさを実感したできごとでもありました。
posted by Active at 10:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ST水野(松原)の日記