"ともに行う調理"の様子。
ともに行う訪問介護事業所の介護福祉士・作業療法士のいとうです。
本日からいよいよ訪問介護サービスの提供開始です。
医療法人こうじょう会なめだリハビリテーションクリニックの医師や療法士等と連携し、身体介護による自立生活支援の見守り的援助を軸に、訪問介護サービス(生活機能向上連携加算T・U)を提供するのが当事業所の特色です。
この日の訪問宅は、右橈骨骨折と記憶障がい等の高次脳機能障害のある利用者様です。
約2年半前から訪問リハビリテーションにて右手指の重度の拘縮に対する訓練を継続しています。
「固くて人参は無理だね」。
「人参を包丁で切れるくらいになりたいね」。
と訪問リハビリテーション開始当初から話されていた利用者さま。
週3回の訪問リハ時間では手指の拘縮の訓練で時間を費やしてしまい、本格的な調理練習や包丁使用練習は行えていませんでした。
加えて記憶障害等の高次脳機能障害があるためか、魚のあら煮等の簡単な調理を時折される程度で、調理を日常的に行えていない状況が続いていました。
そんななか、
「きんぴらゴボウを自分で作って食べたい」。
と、利用者様から聴かれました。
そこで、ご本人、ケアマネジャーさんとも相談し、調理体験デモとサービス担当会議を経て、身体介護2(60分未満)による自立生活支援の見守り的援助の"ともに行う調理"を提供することになりました。
▼調理体験デモの様子はこちら↓
この日は、
「きんぴらゴボウを多めに作っておきたい」。
とのご希望が利用者さまから聴かれました。
手順の声かけと見守り、食材と器具の準備を援助します。
この日の"ともに行う調理"のために自ら人参を買って用意してくれました。
「さぁやるよ〜」
いよいよ人参のカットです。
右手首の様子を確認すると、
「少し違和感あるけど大丈夫」。
「で、次、どうするの?」と1つの作業を終えると尋ねる利用者さま。
せん切りにできるように手順を伝えると、丁寧に作業を進めることができておられました。
見事に人参のせん切り完了!
右手首から前腕にかけて、
「違和感というか痛いねぇ」。
少し休憩を挟みました。
人参、ゴボウの順に炒めます。
調味料のさじ加減は味見しながら、一緒に確認しあいました。
1品目のきんぴらゴボウ完成!
2品目は冷蔵庫の中で傷みかけていた見切り品のチンゲン菜を使ったツナの炒めモノ。
ツナ缶を右手で開ける動作にチャレンジしましたが手首痛があり断念…左手で開けました。
柔らかいチンゲン菜なら簡単かなと思いきや、先ほどの人参カットで右手首痛と違和感が残っていて少ししんどかったようです。
チューブのにんにくとだし醤油を入れて炒め合わせます。
2品目のチンゲン菜とツナの炒めもの完成!
晩ごはんのおかず作り完了!
常備菜として冷蔵庫にストックして明日明後日に食べてもらえればと思います。
「ツナ缶はそのまま開けて食べるだけだったよぅ」。
「チンゲン菜やにんにくチューブはこんな使い方があるんだね。買ってるけど使ったことが無かったよぅ」。
「料理酒やみりんといった類いのものは使ったことがないよ」。
と利用者さま。
冷蔵庫の中には購入したことも覚えていないような賞味期限が過ぎた食材や調味料もあり、食材管理にも見守り的援助が必要そうです。
スーパーに買い物に行かれた時に思いつきで購入して使い切れていないものや食べたいけど使い方、調理方法が分からずに買わなかったものがよくあるそうです。
このためレシピ提供はもちろん、調理方法、手順の声かけと見守りが必要です。
先ずは週1回からの"ともに行う調理"で無理なく楽しみながら美味しい料理作りを通して、包丁使用の向上と料理の日常的な汎化を促します。
ともに行う訪問介護事業所は、見守り的援助で利用者様の自立生活支援をサポートします。